この記事をまとめると
■日産エクストレイルがマイナーチェンジを実施
■「NISMO」「オーテックスポーツスペック」「ロッククリーク」と新グレードを展開
■システムや装備などの見直しも行い商品力を向上させた
エクストレイルが商品群を拡大
今はSUVの人気が高く、国内で新車として売られるクルマの35%前後を占める。日産は2000年にミドルサイズの初代エクストレイルを発売して、2001年には1カ月平均で約3600台を登録した。2013年に登場した3代目はさらに人気が高く、2015年の1カ月平均は約4700台に達した。
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しかし2022年に発売された現行型は伸び悩む。ハイブリッドのe-POWER専用車になって価格を高めた影響もあり、2025年上半期(1〜6月)の1カ月平均登録台数は約1900台だ。10年前の約40%に留まる。
今の日産は業績の回復が重要課題でもあり、2025年8月に、エクストレイルにマイナーチェンジを実施した。注目されるのは選択肢を大幅に広げたことで、販売促進の効果も高い。スポーティな走りを味わえるNISMO、エクストレイルの悪路に強いタフなイメージを強調したロッククリーク、従来から設定されているオーテックには走行性能などを高めたスポーツスペックを加えた。
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まず標準グレードの改良は、フロントグリルが水平基調を強め、昼間でも常に点灯するシグネチャーランプを装着した。アルミホイールのデザインも変更されている。
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内装ではインパネの上部がブラックになり、ナッパレザーシートの色彩は、従来のタンから深みのあるブラウンに変わった。USB電源ポートはタイプCに変わった。
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先進装備では、日産車では初めて、グーグルを搭載するインフォテイメントシステムが備わる。グーグルマップによるルート案内、音声で目的地検索や車両の操作を行えるグーグルアシスタント、アップルカープレイ、車内Wi-Fiなども利用できる。
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死角を補うインテリジェントアラウンドビューモニターも進化した。路面を映したカメラ映像を合成して、ボンネットの下側の路面状況を表示するインビジブルフードビュー機能も加わった。登録された場所に来ると、モニター画面がフロントワイドビューに自動的に切り換わり、死角を補う機能も採用する。
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バリエーションの充実で、今回もっとも注目されるのはエクストレイルNISMOの登場だ。今回はその注目モデルをテストコースで試乗した。なお外観では、ボディの下側を中心に専用パーツを装着している。
アルミホイールも専用デザインで、タイヤサイズは20インチ(255/45R20)だ。銘柄はミシュラン・パイロットスポーツ4になる。
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内装はブラックを基調に、ステアリングホイールやシートにレッドのステッチが入る。メーターの形状も異なり、オプションではレカロ製スポーツシートも用意した。エクストレイルNISMOのパワーユニットは、標準グレードと同じく直列3気筒1.5リッターターボを使うハイブリッドのe-POWERだ。駆動方式は後輪にもモーターを搭載する4WDのe-4ORCEになる。
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運転感覚をオート/スポーツ/エコに切り替えるドライブモードは、標準グレードとは設定が異なる。NISMOの場合は、オートとスポーツモードでは、後輪の駆動力の割合を高く設定する。足まわりのショックアブソーバには、カヤバ製スイングバルブを採用した。
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これらの相乗効果により、NISMOはアクセル操作に対する反応が機敏だ。標準グレードの動力性能を自然吸気エンジン搭載車に置き換えると、3リッター前後の印象だが、NISMOでスポーツモードを選ぶと加速が機敏になって、3.5リッターに相当する。通常の走行では大差はないが、スポーティに走ると違いが生じる。
カーブを曲がるときは、標準グレードよりも、車両の進行方向を内側へ向けやすい。旋回軌跡を拡大させにくく、峠道を楽しく運転できる。走行状況によっては、アクセルペダルを戻すことで、車両を積極的に内側に向けることもできる。このときの挙動変化も穏やかでコントロールしやすい印象だ。
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エクストレイルは全高が1720mmに達するSUVだから、低重心のスカイラインなどに比べると、カーブを曲がるときのボディの傾き方が大きい。エクストレイルNISMOでは、このときの挙動変化を穏やかに進めて、低重心のセダンやクーペとは異なる運転の楽しさを味わえる。低重心の車種では普通に曲がるカーブでも、エクストレイルNISMOなら、ボディの傾き方が少し大きくスポーティに操る気分も強まる。エクストレイルのNISMOは、速さよりも楽しさを大切にしている。
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