孤高の王者「ランクル300」にライバル出現か!? 日産パトロールNISMOとランクルGR SPORTを徹底比較してみた (2/2ページ)

後発の強みでランクル300を凌駕する性能の日産パトロールNISMO

「大きいことは……」といえば、足もとについてもパトロールNISMOはリードしている。レイズ製アルミホイールにセットされたタイヤサイズは275/50R22、なんと22インチなのだ。ランドクルーザー300 GR SPORTも265/65R18とワイド具合では同等といえるが、ホイール径が4インチも違うのでは、少なくともルックス上の迫力では勝負にならない。

 なによりパトロールNISMOで注目したいのは3.5リッター V6エンジンのパフォーマンスだ。

 日産の誇る、最新のパフォーマンスユニットである「VR35DDTT」をNISMOチューンすることで、最高出力495HP/5600rpm、最大トルク700Nm/3600rpmを発揮する。この数字だけでも十分に圧倒されるが、HP(英馬力)をPS(仏馬力)に換算すると、502PSとなる。500馬力オーバーのクロカン4WDが日本市場に登場すれば、そのインパクトは絶大であろう。

 ランドクルーザー300が搭載する3.5リッターV6ガソリンエンジンは最高出力415PS/5200rpm、最大トルク650Nm/2000-3600rpmとなっている。ランドクルーザー登場時には「400馬力オーバーのクロカン4WD!」として話題を集めたが、パトロールNISMOはクロカン4WDにおけるパワーウォーズを一段階レベルアップしてしまう可能性が高い。

 後発モデルが先行するライバルモデルを性能面で超えることは、これまでの自動車史において何度も繰り返されてきたことである。パトロールNISMOが、先行していたランドクルーザー300 GR SPORTをスペックで凌駕することは、自然なことである。

 さて、ランドクルーザー300 GR SPORTが、パトロールNISMOにスペックにおいて上まわっている要素もある。それは最低地上高で、ランドクルーザー300 GR SPORTの225mmに対して、パトロールNISMOは195mmしかない。悪路走破性に影響する最低地上高で勝っているというのはランドクルーザーの絶対王者としての矜持かもしれない。

 ただし、パトロールNISMOはNISMOによってチューニングされた電子制御ダンパーなど足まわりが専用品となっている。パトロールの標準系グレードでは最低地上高244mmとクロカン4WDのなかでも余裕がある数値を誇る。乗車定員についてもパトロールは8名となっており、定員7名のランドクルーザー300に対して、ボディの余裕をアピールしている点も見逃せない。

 はたして、SUVの絶対王者であるランドクルーザー300に国産モデルのライバルは誕生するのだろうか。日産は本気でパトロール導入を検討しているようだから、その動きから目が離せない。そしてランドクルーザー300 VS パトロールの図式が実現すれば、“負けず嫌い”のトヨタがランドクルーザー300のパフォーマンスを上げてくることも考えられる。相乗効果、切磋琢磨により日本のクロカン4WDマーケットが盛り上がることを大いに期待したい。

※パトロールのスペックはすべて中東仕様を参考としています


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

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