【試乗】そんなに興味なかったのに……チョイ乗りしたら秒で虜! ヒョンデ・インスターで500kmのロングラン【前編】 (2/2ページ)

価格に見合わない充実した装備に惹かれっぱなし

 ラゲッジスペースの容量は通常では280リッターと、このクラスでいうなら標準的といえる数値。後席をパタンと前側に倒してフラットにすれば、荷室のスペースを大幅に拡大することができるというのは珍しくもないわけだけど、このクルマで面白いのはふたつのフロントシートも同じようにパタリと倒して全席ほぼフルフラットにできる、という仕掛け。上手い具合に敷物などを用意すれば、大人ふたりがなんとか車中泊できちゃいそうなのだ。

 密着するから隣がオッサンだったら僕としては願い下げだけど。いや、そういう個人的な好みはさておいて、たとえば災害時などにもこの仕掛けは有効で、もとより電気はたっぷりクルマが備蓄していて家電製品などに電力供給できるV2Lの100Vコンセントがセンターコンソールの下にあったりもするから、上手く工夫したりやり繰りしたりすれば、小さいけれど本当の意味での”居住”空間としても役立ってくれることだろう。

 撮影の合間に車内を観察していて、ふと結構なことに気がつき、僕は驚愕した。そういえば、この装備の充実っぷりな何なのだ? と。いっておくけれど、インスターは決して小さな高級車を目指してつくられたクルマじゃない。それはインテリアの各部に使われてる素材などを見れば明らかだ。安っぽいなどというつもりはないけれど、たとえばアイオニック5ではそれなりに感じられるプレミアム感のようなものは、当然ながらどこにもない。

 ひと言で表すならチープ。けれど、チープであることを恥じて取り繕おうとするようなみっともない足掻き方もどこにもない。むしろそこを楽しんでいるかのようなデザインがなされていて居心地も悪くないということには好感がもてるのだけど、高級車志向じゃないというのは明白だ。

 なのに、である。これ以上ほかに何が必要? というくらいの装備の充実っぷりなのだ。

 試乗車が最上級グレードの「ラウンジ」だったこともあるのだけど、オートデフォッガー付きのフルオートエアコンやAppleCarPlayやAndroidAutoと連動させられる10.25インチのインフォテインメントシステム、タイプAとタイプCのUSBポート、レインセンサー付きフロントワイパーあたりはストンと納得できるとして、先述した360°サラウンドビューモニター、電動スライディングルーフ、ステアリングヒーター、スマホのワイヤレスチャージャー、さらにはアンビエントライト、前席シートヒーター&ベンチレーション、デジタルキーなどが備わってる。

 ヒョンデのお家芸ともいえる、ウインカーレバーに連動してメーターパネルに斜め後方から後方を映し出す丸型ウインドウが現れるブラインドスポットビューモニターも、もちろん。ADASもセーフティ系もドライビングアシスト系も書き並べるのがめんどくさくなるくらい種類や機能が充実していて、上級モデルに遜色ないといえるレベルだ。

 ちゃんといろいろなステージで走ってみないとホントのところは何ともいえないとは思いつつ、その装備類テンコ盛りの最上級グレードですら価格は357万5000円。令和7年のクリーンエネルギーヴィークル導入補助金が56万2000円で、エコカー減税などの免税などを加えると60万3000円が優遇される。するってーと300万円を切る価格でこれが手に入るのか? いや、自治体によってはさらに補助金が出るわけで、そうなると……。

 日産サクラも三菱eKクロスEVも、使い方によってはとても有効で魅力的な存在だとは思ってる。けど、このヒョンデ・インスター、それを上まわる魅力──強烈なコスパのよさ──をもってるんじゃないか?

 編集担当とカメラマンがマジメに撮影していて、ドライバーとしてはロクに走らせてないうちから、このクルマにちょっとばかり気を惹かれはじめてたことを、素直に告白しておこう。

──後編に続く。


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嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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