ついに乱立する中国EVメーカーの淘汰が始まった! 生き残るのはBYDと上海汽車グループだけとの情報も (2/2ページ)

BYDと上海汽車だけが生き残る可能性

 NETAの破産騒ぎは、低価格で薄利となるBEVであるNETA-Vへの販売依存の高さから脱却できないなか、タイでは中国系BEV同士での乱売合戦に巻き込まれたことも大きいと考えている。そうなると、インドネシアにおけるウーリンもNETAの二の舞になるのではと考えたのだが……。

 しかし昨年、つまり2024年に開催されたGIIAS2024において、ウーリンはすでに対策を施していた。展示ブースにおいてはエアEVの展示はあるのだが、エアEVの上級車となるビンゴEVやクラウドEVの展示を目立たせていたのである。そして2025年にインドネシアの首都ジャカルタを歩いていると、ビンゴEVやクラウドEVがよく走っているのを確認できた。つまり、販売主軸車種の上級移行がうまく進んでいるように見えたのである。

 そしてGIIAS2025でのプレスカンファレンスでは、もともとウーリンがインドネシアに市場進出を始めて以来ラインアップしている、ICEのMPVとなるコルテズの派生モデルが大きく注目された。

 それが、BEVだけではなくPHEV(プラグインハイブリッド車)もラインアップする、全長が5メートルに迫ろうとする大型ミニバンのコルテズ・ダリオンだ。ただ、上海汽車は、すでにインドネシア市場にMAXUS(上汽大通)ブランドから、ミーファ7という高級テイストなミニバンをラインアップしており、これがコルテズ・ダリオンとほぼ同じサイズとなっている。

 なのでコルテズ・ダリオンは、高級テイストではなくカジュアルなテイストを与えて、ミーファ7と差別化させているようであった。

 エアEVがまさに爆売れしていたのだが、ウーリンブランドではICE車もラインアップしており、さらにエアEVの販売が盛り上がっているなか、いち早く上級車種を積極投入している。

 NETAも、2025年春に開催されたバンコクモーターショーのプレスカンファレンスでは、販売中核車種の上級移行を今後は進めるとしていたが、時すでに遅しとなっていたのである。

 ウーリンは上海汽車系ブランドなので、新興BEVメーカー系となるNETAと異なり、ラインアップも多種多彩にあり、市場分析能力もウーリンのほうが一枚上手だったということになるだろう。

 現状、東南アジアには数多くの中国系ブランドが進出しているが、多数の業界通のから、「最終的にはBYDオートと上海汽車系ブランドのみが生き残るのではないか」といった分析をする声を多く聞いている。

 BYDオートはBYDと上級となるDENZA(デンザ)の2ブランド体制、上海汽車はインドネシアではMG、ウーリン、マクサスの3ブランド体制となっている。複数ブランドをもち、さらに極端に1車種に販売が偏ることなくバランスよく販売しているところに、筆者もこれら2メーカーの強みを感じている。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報