この記事をまとめると
■正規輸入車の登録台数でスズキが4月と6月に1位を獲得している
■背景には海外生産のジムニーノマドやフロンクスの存在がある
■スズキと同じ理由でホンダも2025年1〜3月で1位を獲得した
スズキが輸入車登録台数で1位になった背景
日本自動車輸入組合が集計する正規輸入車の登録台数を見ると、最近は異変が生じている。スズキが上位に入ってきたからだ。
その数字を見ると、2025年4月にはスズキが3990台を登録して輸入車の登録台数で1位になった。2位のメルセデス・ベンツは3202台だ。2025年6月も、スズキが4780台を登録して輸入車の1位になる。2位は僅差でメルセデス・ベンツの4730台であった。
直近の2025年7月の1位はメルセデス・ベンツで4349台だが、2位には3127台でスズキが入った。
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2025年4月以降に、スズキが輸入車の登録台数を急増させた理由は何か。それはインドから輸入しているスズキ・ジムニーノマドの増産だ。
ジムニーノマドは、ジムニーシエラの5ドア版で、日本のユーザーが以前からほしがっていた車種だ。そのために2025年1月30日に発表されると注文が殺到した。予約受注をほとんど行っていないのに、2月3日には約5万台を受注して納期が大幅に遅延したため、販売活動を中止した。実質4日間で約5万台の受注実績は、日本の自動車史上で最速だった。
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そして5月には、それまで1カ月に1200台だったジムニーノマドの輸入台数を7月以降は3300台に増やすと公表された。納期を短縮するためだ。
ただし実際は、それ以前からジムニーノマドの輸入台数は増加傾向にあり、スズキは3月は2610台だったが、4月には前述の3990台に達した。5月は3679台に減ったが、6月は4780台に増えている。7月はジムニーノマドの出荷が下旬から停止して3127台に減ったが、輸入車登録台数ランキングは、メルセデス・ベンツの4349台に続いて2位になる。
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以上のように、スズキが正規輸入車登録台数ランキングで1位や2位を獲得している理由は、従来からのフロンクスに加えて人気の高いジムニーノマドの輸入販売を開始したからだ。
そしてもうひとつ、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンといった海外ブランド車の売れ行きが伸び悩んでいることも原因だ。日本では新車として販売されるクルマの40%近くを軽自動車が占めており、5ナンバー車を中心としたコンパクトカーの販売比率も高い。それに比べて輸入車は、Lサイズの高価格車が中心で、国内市場との親和性は高くない。
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そのために輸入車は以前から市場規模が小さく、ジムニーノマドが加わっただけでも、スズキが輸入車登録台数の1位になってしまう。
同様の理由で、WR-Vやオデッセイなどを輸入するホンダも、輸入車市場のシェアが大きい。2025年1〜3月については、ホンダが輸入車登録台数ランキングの1位になっていた。