新デザインは「日常にキラメキ」! いまなお人気のスズキ・ラパン「10年目のマイチェン」ポイントを開発陣に直撃した (2/2ページ)

落ち着きを増したカラーデザイン

 一方、2022年に追加されたばかりのアルトラパンLC(以下LC)も大きく変わったのは驚きだ。もともとはフロンテの2代目であるフロンテ360をモチーフとした独特のグリル形状をもっていたが、新型にその面影はあまり残っていない

「新型はオマージュではなく、あくまでオリジナルのデザインを目指しています。コンセプトは『ハンサムトラッドスタイル』で、たとえば女性が男性のジャケットを着こなすような、ジェンダーな雰囲気を意識しています。バラ文字のエンブレムや、抑揚を加えたバンパー形状も表情の変化の一環ですね」

 もともとスズキのCMFデザインは細かな工夫や新しい発想が多いが、今回もボディカラーとインテリアデザインの組み合わせには新しい提案が見られる。たとえばラパンのブラウンとブルーの2色のシート色はかなり大胆だ。

「現行の『トラッッドカーキ』というグリーン系の評判がいまひとつだったので(笑)、新たに『モカブラウン』と『ライトブルー』を設定しました。とくにブルーは大胆ですが、社内の女性スタッフには人気がありますし、新色のボディカラーである『フォギーブルーパールメタリック』という明度を落とした青との相性がいいんです」

 また、LCも「顔」だけでなくインテリアにも新提案が見受けられる。特徴的なチェックのシートは、レザー風の素材もファブリック部もかなり落ち着いた『アッシュブラウン』に変更されているのだ。

「現行のインテリアは明るく甘いイメージでしたが、カワイイの表現も多様化してラブリー一辺倒ではなくなった。そこでLCでは、シート地の明度を落とすと同時に、インパネガーニッシュをシボのあるレザー調にしたほか、テーブル部分を落ち着きのあるヘリンボーン柄としました。また、ラパンといえばアイボリーのボディカラーが定番ですが、これも10年経って新たに『ルーセントベージュパールメタリック』という明度を落とした色に変更したんです。ソリッドな現行に対し、光が当たることでマイカの粒子が光る、まさにハンサムトラッドなカラーですね(笑)」

 販売力継続のためのマイナーチェンジであれば、目立つ変更だけでもそれなりの効果があるが、できることはすべてやりたいのがデザイナー職の性だろう。その点、スズキのCMFデザインは今回も新しい提案に満ちた仕事を進めたようだ。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

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