レーシング・ポルシェをベースにしたストリートカー製作が秘密裏に行われていた! たった1台のワンオフロードカー「ポルシェ963 RSP」は伝説確定 (2/2ページ)

917と963 RSPの公道タンデム走行も披露

 963 RSPのコンセプトは50年前に誕生した917のロードモデルとまったく共通だ。それはすなわち963というレーシングカーのエンジニアリングをそのまま継承し、オンロード走行を可能にするための必要最小限のモディファイを加えるというもの。

 ボディデザインはもちろん963のそれを基本としてはいるものの、917のイメージを再現するために、新たにさまざまなディテールを採用。フェンダーには963 RSPに独自のエアベントが設けられた一方、リヤウイング内のカーボンファイバー製ブランキングプレートを廃止。ロードカーとして最低限必要なロードクリアラスを得るために車高は若干高められている。

 インテリアの変化はエクステリアのそれよりも大きい。シートやステアリングホイールなどのデザインは一新され、コクピットはタンレザーとアルカンターラによるフィニッシュが採用されることになった。ターンシグナルやヘッドランプの操作スイッチを追加していることも、ロード走行を前提とする963 ESPに独自のディテールだ。

 搭載されるパワーユニットは、当然のことながら963のそれと同様に、4.6リッターのV型8気筒ツインターボ・エンジに、ハイブリッドシステムを組み合わせたものだが、MGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)からのパワー・デリバリーの制御は見直され、また一般に入手できるガソリンの使用を可能にするため、エンジンそのものにもECUのリマップなど、さまざまな改良策が施されている。

 前後のサスペンションに組み合わされる調節式のマルチマチックDSSVダンパーも、乗り心地を最大限に考慮した専用のセッティング。オーナーであるペンスキー氏も、これならばその走りを十分に楽しむことが可能だろう。

 とはいえ、実際に963 RSPの姿をオンロードで見ることができる機会はそう多くない。ル・マン24時間レースの期間中、その舞台となるサルト・サーキットに展示されていた963 RSPは、その後はドイツのシュツットガルドにあるポルシェ・ミュージアムに収蔵されることが決定されているからだ。

 50年前に誕生した917のロードカーからインスピレーションを得て、やはりマルティニ・シルバーのボディーカラーを施されて完成した963 RSP。それはやはり数あるポルシェ車のなかでも特別な存在といえる。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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