インドネシアの公共交通「トランスジャカルタ」が一気にBEV化へ! 中華系ブランドのバスが続々投入されているがエンジン車時代に全盛だったダイムラー・ボルボ・スカニアはどうなる? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■インドネシアのBRT「トランスジャカルタ」でBEVバスがその数を増やしている

■中国系メーカーが主力を占めており韓国や欧州ブランドの参入にも注目が集まる

■深刻な大気汚染対策として公共交通機関の電動化が急速に進展する見込みだ

東南アジアで拡大するBEVバス

 インドネシアの首都ジャカルタには「トランスジャカルタ」と命名された、BRT(BUS RAPID TRANSIT/バス高速輸送システム)というものが運行されている。一般路線バスと異なるのは、乗降に際しては専用プラットフォームをもつバス停を使うこととなり、乗客は鉄道の改札みたいなところからこのプラットフォームに出入りすることとなる。

 車両もこのプラットフォーム乗降に対応し、乗客の乗降口は高い位置に設置されている。BRTは日本をはじめ世界各国で導入されているシステムとなるが、専用レーンを走ることで一般的な交通渋滞による遅延も回避できるというのがウリなのだが、トランスジャカルタは交差点など一般道路を走る部分もあり、交通渋滞の影響を受けるものとなっている。

 2024年にGIIAS2024(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2024)会場に、BEV(バッテリー電気自動車)タイプのトランスジャカルタ対応の路線バス車両が展示してあった。

 担当者に聞くと間もなく正式デビューするとのことだったので、ジャカルタ近郊で開催されたGIIAS2025の取材後ジャカルタ市を訪れると、2024年まではICE(内燃機関)路線バス車両しかなかったトランスジャカルタだったのだが、2025年に訪れるとBEV路線バス車両の運行が目立っていた。

 調べてみると、地元の報道では2024年12月末に新たに200台のBEVタイプとなるトランスジャカルタ専用車両が導入され、あわせて300台体制が整ったと報じていた。なお、2030年までにすべてのトランスジャカルタの車両を電動化することを目標としているそうである。

 当該車両はスカイウェル、中通(ゾントン)、SAG(ゴールデンドラゴン)、BYDとなり、いずれも中国系ブランドとなっている。筆者が定点観測したところでは、スカイウェルとSAG、ゾントン製車両を目撃することができた。そのうちスカイウェル製車両については、ジャカルタ・コタ駅から終点のブロックMバスターミナルまで、乗車した際は1時間弱の客席試乗も行っている。最後部の席に座ったのだが、インバーターの音などノイズもかなり抑え込まれており、静かな車内がとても印象的であった。

 事情通によると、トランスジャカルタの車両の減価償却期間は13年とのことであり、ICE路線バス(ダイムラー[メルセデス・ベンツ]、ボルボ、スカニアシャシーベース車両が多い)も償却期間を迎えると随時BEVの新型車両へ交換されていくことになるだろうと語ってくれた。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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