この記事をまとめると
■ダイハツの初代ムーヴは1993年に登場したワゴンRの対抗馬だった
■イタリアのデザイン会社などがかかわりデザインも秀逸だった
■「カスタム」と名付けられた若者向けモデルの存在もヒットを後押しした
初代ムーヴは革命的なモデルだった
先日、7代目モデルとなる新型が登場したばかりのダイハツのトールワゴンであるムーヴ。新型となる7代目では歴代で初となるスライドドアを採用したことでも話題となったが、それも偉大な初代モデルがあってこそのもの。ということで今回は1995年に登場した初代ムーヴを振り返ってみたい。
1995年8月に登場した初代ムーヴは、当時のミラ(4代目)のコンポーネンツをベースとして生まれたモデルで、いうまでもなく1993年に登場して人気を博していたスズキ・ワゴンRの対抗馬としてリリースされた。
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ボディサイズに制限のある軽自動車ということで、全体的なトールワゴンというスタイルはワゴンRと同様のものとなっていたが、イタリアのデザイン会社であるI.DE.A(イデア)とダイハツとの合作で生まれたエクステリアデザインは、Aピラーから伸びるキャラクターラインや大きなグリルを排したクリーンなフロントマスク、そしてボディサイドに縦型に配置されたテールランプなど、ワゴンRとは一線を画すものとなっていた。
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またリヤゲートは狭い場所でも開閉が容易な横開きとし、シートアレンジも豊富で、リヤシートにスライド機構が備わるなど、後発ならではの美点を多く備えていたのだ。さらに搭載されるエンジンもSOHCエンジンが中心だったワゴンRに対し、新開発のEF型DOHCエンジンとし、上級グレードには4気筒ターボ(JB型)が用意されていたのもムーヴならではのポイントとなっていたのである。
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そしてもっともムーヴならではといえるのが、1997年5月に追加された「カスタム」シリーズだ。これはI.DE.Aではなくダイハツオリジナルのデザインを纏ったもので、大型のメッキグリルやキャラクターラインを排したフロントフェンダーなどを備え、「エアロダウンカスタム」では15mmダウンとなるローダウンサスペンションや大型エアロパーツなどを装着し、“裏ムーヴ”の愛称とともに若いユーザーの心をわしづかみにしたのだ。
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ワゴンRも1998年1月に「エアロRR」というカスタムモデルを特別仕様車としてリリースしたが、ムーヴほどの標準車との差別化を図ることができず、ムーヴカスタムの後塵を拝することになってしまった。
このように今では他メーカーも含め、標準モデルとドレスアップモデルの2本立てとなる軽自動車は一般的だが、その元祖ともいえるのが初代ムーヴだったのだ。
ただそんな先陣を切ったムーヴだが、現行型の7代目では標準車とカスタムの差別化をなくしている。果たしてこれが新たなスタンダードになるのか、こちらも注目したいところだ。