この記事をまとめると
■近年の新車では先進安全機能が義務化されているため廉価グレードでも不足は少ない
■電動スライドドアやオートエアコンといった便利機能は省かれがちだ
■不要な機能を割り切ることが賢いクルマ選びにつながる
廉価グレードは装備差があるがコスト面でのメリットも大きい
いまや、どんなに安い新車を選んでも、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)や横滑り防止装置(ESC)といった先進安全機能は標準装備されている。これらは装着が義務づけられているので、「機能を省いてそのぶん安く!」というわけにはいかない。
一方で、廉価グレードの装備をチェックすると、いまや当たり前と思っているような機能が省かれていたり、ダウングレードされていたりすることも珍しくない。たとえば、エアコンが装備されていないクルマは見かけないが、ほとんどの新車がオートエアコンを標準化するなかで、いまだに風量などを手動でコントロールするマニュアルエアコンを装備しているモデルは存在している。
マニュアルエアコンのつまみ画像はこちら
後席スライドドアも電動で動くのが当たり前と思っているかもしれないが、じつはミニバンや軽スーパーハイトワゴンの廉価グレードでは電動スライドドアが装備されていなかったり、電動なのは助手席側だけで運転席側は手動開閉だったりといったケースも珍しくない。
実際、ホンダN-BOXの標準系グレードは電動スライドドアが助手席側しか標準装備されていない。メーカーオプションで運転席側スライドドアも電動化することはできるが、その場合にはほかの装備とのセットオプションとなり、10万円以上も支払額が増えてしまう。「運転席側についてはドライバーが自分で開ければ問題ないし、とくに不便にも思わない」と考えるユーザーであれば、オプションにかけるコストは無駄といえる。
トヨタのコンパクトカー「ヤリス」の装備を見ても、ほとんどのグレードでオートエアコンを採用しているなか、ガソリンエンジン車の廉価グレード(税込165万7700円)のみマニュアルエアコン仕様となっている。ひとつ上のグレード(182万500円)との価格差は、同じ1リッターエンジン仕様でも16万円以上もある。
トヨタ・ヤリスの廉価グレード画像はこちら
そのほかの装備も異なるのでこの価格差がエアコンによるものだけとはいえないが、ベーシックなコンパクトカーを求めるならば、割り切ってマニュアルエアコン仕様のグレードを選んだほうがコストメリットも大きいことは明らかだ。
もちろん、マニュアルエアコンの場合は風量などをこまめに調整する必要もあるが、むしろ手動コントロールするほうが快適と感じる人であれば、わざわざオートエアコン仕様を選ぶ必要もないだろう。