この記事をまとめると
■近年クルマの装備は飛躍的に進化しその数を増やしている
■なかには利便性はあるものの過剰装備といわれ賛否両論あるものも存在する
■一度使えば手放せなくなるような便利機能も数多い
機能の必要不必要は人それぞれ
近年、クルマの装備が飛躍的に進化している。一方で、コストダウンのために以前はあった装備が削られていることもあったりする。ここでは、「こんな装備いらないんじゃない? そのぶん安くしてよ」というものから、「やっぱりあると便利だよね」という装備まで、いくつか挙げてみたい。もちろん、装備は人や使い方によって必要になることもそうでないこともある。
●アイドリングストップ
まずは、燃費節約や排気ガス低減のためにあるアイドリングストップだ。しかし現在、ホンダ・フリードのガソリン車やトヨタ・シエンタ、ヤリスなど、ホンダやトヨタの一部車種では、アイドリングストップ機能をあえてもたないクルマも出てきている。
そうした流れの理由は、再始動時の振動や騒音のほか、発進時の遅れにもにある。交差点の右折時などでアイドリングストップした状態から発進しようとしてアクセルを踏んだ際、ワンテンポ遅れて加速しはじめるためにヒヤヒヤする場面を想像してもらいたい。
アイドリングストップ機能のスイッチ画像はこちら
しかもアイドリングストップ搭載車は専用バッテリーが必要で、非搭載車のバッテリーより高価になるとともに、使い方によってはバッテリーの劣化も早く、交換時の経済的損失もある。筆者の愛車にはアイドリングストップ機能が付いているが、出発時にあえてオフにしているほどだ。
なお、アイドリングストップキャンセラーなる機器が売られているが、筆者は2万円以上もするから諦めたため、手動でオフにする面倒を強いられている。もちろんアイドリングストップ機能がないと燃費は悪化するものの、国産車メーカーの開発陣によれば、燃費差は1km/L以下のケースもあるという。今後、アイドリングストップ機能のない新型車は増えるはずである。
●電動リヤゲート
SUVやワゴンの上級車には電動リヤゲートが付いているクルマも多い。ボタンやキーの操作でリヤゲートを開閉できるのだが、故障するとやっかいで修理費も高価になる。また、ラッチ部分に犬の毛などが詰まっていると安全機能が働きキャンセルされ、操作と逆方向に作動することもあったりする。
電動リヤゲートが装備されたトヨタ・ノア画像はこちら
ボックス型ミニバンのように、リヤゲートが巨大で開け閉めがめっぽう重い場合は助かるが、リヤゲートがそこまで大きく重くないのであれば、車両価格に含まれる装備ぶんの値段を含め、どうしても必要な装備とは思えない。
●リモートパーキング
上級車には、ボタンひとつで駐車を行ってくれるリモートパーキング機能が付いていることもある。かつてのリモートパーキングは、かえって自身で駐車したほうが早い……なんていう使えないものもあったのだが、最新のリモートパーキング機能はかなり便利。最先端のものでは、スマートフォンからクルマをRCカーのように操作することができ、リモートで駐車・出庫してくれたりする、夢のような機能をもち合わせている場合もある。
スマートフォンから操作する形式のリモートパーキング画像はこちら
しかしだ。駐車場に愛車を止めたのはいいものの、両側ギリギリに大きく幅広のクルマが止まっていて、ドアを開けることができない……なんていうレアケースでは確かに助かるが、そんなことはめったに起こらない。筆者の愛車にも自動パーキング機能が付いておりそれなりの動作をしてくれるのだが、操作手順などが面倒で、一度も使ったことはない。必要な装備と抱き合わせのパッケージなら仕方がないが、運転初心者であっても、その機能単独にわざわざお金を払うのは考えものだ。
リモートパーキングの画面画像はこちら
●オートワイパー
雨が降ってくると自動的にワイパーを作動してくれるのがオートワイパーだ。便利なシーンもあるにはあるが、雨が降ってくれば誰にでもわかるわけで、手動でワイパーを動かせばいいだけ。しかも、フロントウインドウが汚れた状態で勝手に作動すると、ワイパーブレードのゴムやフロントウインドウガラスをキズつけてしまう心配もある。
オートワイパーのレバー画像はこちら
オートワイパーはウインドウウォッシャー液の噴射まで面倒を見てくれない。当然、エンジンがかかったまま洗車をすれば、水滴を感知してワイパーが作動。ウインドウを洗っているタイミングなら手を怪我する可能性もある。ただし、オートワイパー機能が付いていても、オフにすることは可能だ。というぐらいで、なくてもいい装備のひとつといえそうだ。
●タッチセンサー式スライダー
いま、クルマの物理スイッチが減っている。車内がスマートになり、部品点数も減らせてコストダウンにつながるという見方もある。が、そうした物理スイッチをやめたクルマがふたたび物理スイッチを復活させている例もある。理由はもちろんユーザーからのクレーム、つまり使いにくさ。
フォルクスワーゲン・ゴルフ8のタッチセンサー式スライダー画像はこちら
フォルクスワーゲン・ゴルフ8は、エアコンの温度やオーディオ音量調整を、ゴルフ7.5までの物理スイッチからタッチスライダーに変更したのはいいものの、夜間照明がないこともあり世界中で酷評を浴びたのだ。ゴルフ8.5で照明が付いたもののスライダー操作には慣れが必要で、物理スイッチに慣れた身としては決して使いやすいとはいえない。もちろん、これはゴルフだけのことではない。