この記事をまとめると
■ミシュランは「雪も走れる夏タイヤ」としてオールシーズンタイヤをラインアップする
■最新作として「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3 SPORT」が登場した
■ドライでもウエットでもグリップ力は十分でノイズも少ないのが特徴だ
ミシュランの新作オールシーズンを試す
「雪も走れる夏タイヤ」というキャッチフレーズを持つ、ミシュランのオールシーズンカテゴリータイヤ「クロスクライメート」が、第3世代へとモデルチェンジを果たした。
第2世代のラインアップは「クロスクライメート2」と「クロスクライメート2 SUV」の2種類だったが、今回からは「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3 SPORT」という新たなグレード構成になったことがトピックだ。
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ちなみにミシュランはサマータイヤであるプライマシーシリーズを、サステナビリティと商品構成のシンプル化という観点から「プライマシー4+」と「プライマシーSUV+」から、「プライマシー5」へと統一したばかり。
となればこちらも「クロスクライメート3」に1本化されそうなものだが、ミシュランは新たに「SPORT」を追加した。
その理由は、まず近年プレミアムカーやスポーツカーのユーザーが、オールシーズンタイヤに対して高い関心を示しているからだ。
ミシュラン・クロスクライメート3 SPORTの試乗イメージ画像はこちら
なお、クロスクライメート3(以下:CC3)とクロスクライメート3 SPORT(以下:CC3 SPORT)は、お互いにサイズが重複していない。このことからもわかるとおり、よりスタンダードなオールシーズンタイヤとしてCC3が存在し、より高いハンドリング性能が求められるプレミアムカーやスポーツカーユーザーに向けては、CC3 SPORTが設定されたことが理解できる。いわばそれは、夏タイヤにおけるプライマシーシリーズと、パイロットスポーツシリーズのラインアップと同じなのだ。
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そして実際の構造や走りにも、その特徴がきちんと反映されていた。
ということで試乗レポートだが、CC3/SPORTのテストはプライマシー5と同じ日にGKNドライブラインジャパンのテストコースで行われた。
テスト項目も基本的に同じで、今回確かめるのは夏タイヤの性能。まず最初はクロスクライメート3の新品と残溝2mmのタイヤを用意して、ウェットブレーキング性能を比較した。
試乗車はカローラ ツーリングで、タイヤサイズは205/55R16。時速約80km/hの全開加速からフルブレーキングして、2本ずつ計測した制動距離は新品のベストが33.50mで、もう一本は35.02m。その平均は34.26mだった。
対して残溝2mmのベストは38.04mで、2本目は38.54m。その平均は38.29mとなった。
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ベスト同士の比較では制動距離の差が+4.54m、その増加率が約+13%と、かなり優秀。スクラブしたタイヤと使い込んで減らしたタイヤの特性はまったく同じとは言えないけれど、それでもクロスクライメート3がタイヤライフ終盤においても、プライマシー5と同様高いウェットブレーキング性能を維持していることは推測できる。
こうしたウェットブレーキング性能の向上は、トレッドパターンとコンパウンドふたつの改良によってもたらされた。
CCといえば雪中剪断性能を高める「Vシェイプパターン」が特徴的だが、今回ミシュランはこの中央にセンターグルーヴを1本追加することで、CC3/SPORTともにウェット性能を高めた。
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さらにCC2よりもブロック幅を細めて、ブロックピッチを増やすことでエッジ数をも増加させた。これによってスノーブレーキ性能をも高めたというが、フルブレーキングでもその挙動は安定していた。