この記事をまとめると
■水没車は解体されて資源となるのが一般的だ
■なかには水没車を仕入れて車内清掃をしたのちに格安で販売する業者も存在する
■安いとはいえ水没車を買うのはリスクが大きい
水没車ってなにがダメなの?
ここのところ各地で発生しているゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨は、数時間足らずで河川の氾濫などを招き、あっという間に道路や駐車場を冠水させてしまう。この被害に遭って多くのクルマたちが水没してしまっているシーンをニュースで見たことがある人も多いことだろう。
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このとき、不幸にも被害に遭ってしまった車両は、水没の度合いにもよるが、全損扱いとなってしまうことも珍しくない。このような車両は、水に浸かっていない部分などはリサイクルパーツとして使用されることもあるが、基本的には解体されて資源となるのが一般的だ。
しかし、なかには水没車を格安で仕入れて、車内清掃をしたのちに販売してしまう業者もわずかながら存在するのもまた事実なのだ。
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水没車や冠水車と呼ばれるものは、一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準によると、「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」と定義されている。
ただ、水没車においては、修復歴とは異なり販売時の告知義務はないので、水没車をキレイに清掃をした上でほかの中古車と同じように販売することは問題ないというのが現状だ。しかし、告知義務はないものの、水没車は重大な瑕疵があるともされており、告知をしないで販売することは不当表示(優良誤認)に当たるともされているため、注意が必要といえるのである。
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店頭で販売できるレベルの水没車であれば問題なく走行できる状態であるハズで、「相場よりも安ければアリなのでは?」と考える人もいるかもしれない。しかし、一度室内フロア以上に浸水してしまった車両の故障リスクは、通常の中古車よりも大きく跳ね上がってしまう。
というのも、近年のクルマはフロア下に多くの配線類が複数通っており、室内フロア以上に浸水した車両は間違いなくこの配線類も水に浸かっていることになる。そうなると、しばらくは正常に動いていても、時間の経過とともに腐食などが発生して配線がショートし、不具合が発生するだけでなく、最悪の場合は車両火災になる可能性もあるのだ。
また、大雨などで冠水した場合、下水なども流れ込んでいることが多いため、悪臭の原因になることや、湿気によってカビが発生する可能性もあり、健康被害を受けるリスクもあるといえるだろう。
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もしこれらの不具合を解消しようとすると、内装はすべてバラして配線類やカーペット類などをすべて交換する必要があり、とんでもない時間と費用がかかってしまう。だからこそ水没してしまった車両の多くが廃車扱いとなるということなので、いくら安いとはいえ、水没車を買うのはリスクとデメリットのほうが大きいのである。