この記事をまとめると
■軽トラックに限らず軽自動車がアメリカで人気となっている
■アメリカでは軽自動車を登録できない州もあるなどその使用はグレーゾーンだ
■アメリカで右ハンドル車の登録に利用されたのが25年ルールだった
アメリカで人気の軽トラだが登録できない州もある
アメリカで日本の軽自動車が人気。そんなニュースをネットやテレビニュースで目にすることは、もはや珍しくない。日本固有の車両規格である軽自動車で、”働くクルマ”としてだけではなく”趣味のクルマ”としてアメリカで軽トラックが重宝されているのだ。
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そうしたなか、コロラド州で5月1日、軽トラックに限定せず日本の軽自動車を公道で走行する法案が成立したというから、驚きだ。
日本貿易振興機構(JETRO:ジェトロ)のビジネス短信に詳しい解説がある。それによれば、今回の法案成立を受けて、所有権証明書法でも軽自動車を自動車として定義した。そのため、所有権証明書の発行と、自動車としての登録と道路交通法の遵守が義務付けられた。知事が署名すれば、2027年7月に本法案は施行される。
これまで課題だったのは、コロラド州では軽自動車の使用を禁止する規定はとくになかったのだが、自動車当局から登録を拒否されたり、排ガス検査を受けられないといったケースがあったという。このような軽トラック(および軽自動車)に関する課題は、全米各地で起こっているものと推測されるため、今回のコロラド州の法案成立は、いわば軽トラックのアメリカでの市民権を得たといえるのではないだろうか。要するに、アメリカでの軽トラックの利用は、いわゆるグレーエリアなのだ。
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さらにいえば、アメリカの「25年ルール」のあり方についても、そろそろ再検討するべき時期ではないだろうか。製造から25年以上経過した海外のクルマをアメリカに輸入するための法律だ。
そもそも25年ルールは、欧州ヒストリックカー愛好家が自主的に輸入していた車両がグレーエリアであったことなどがきっかけとなり、法整備が進んだものだと解釈されている。主な対象が欧州車なので、イタリア車、フランス車、ドイツ車などに加えて、右ハンドル車の英国車も含まれていたということになる。
そんな25年ルールを使った日本車輸入が増えた背景には、1990年代末から2000年代初頭の短期間で大ブレイクした「ジャパニーズ改造車ブーム」がある。南カリフォルニアのアングラ社会が火付け役となり、低予算映画「ザ・ファスト・アンド・ザ・フューリアス(邦題:ワイルドスピード)」が異例の大ヒットとなったことで社会現象化したものだ。
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当時の若者が、近年、若い頃の夢を実現するために「R32、33、34GT-R」などを「大人買い」するようになった。そうした25年ルールを使った日本車輸入ルートが開拓されるなかで、今後は軽トラックに火がついたというわけだ。