労働力の増強だけじゃ解決不可能! ECの増加と2024年問題で危機に陥る物流業界を救う手立てとは (2/2ページ)

時代の流れで変わりゆく長距離輸送のカタチとは

 長距離輸送の場合、ひとりのドライバーが1台のトラックで運ぶのが当たり前であったが、これではドライバーの負担は軽くならない。そこで途中に中継地点を設けて、ドライバーを交代させる中継輸送が行われるようになった。また、このときに荷室だけを交換するスワップボディも普及し始めた。これにより、ドライバーは出先で宿泊することなく、折り返して帰ってこられるようになったのだ。

 トラックが車両である以上、避けて通れないのが点検・整備である。これを行なうためには、当該車両の運行を停める必要がある。これを解決するべく、ヤマトホールディングスのグループで車両の管理や整備などを担うヤマトオートワークスでは、車両整備を効率化した「スーパーワークス」という整備工場を展開しているのだ。

 ここでは整備・点検を24時間行なっており、トラックを営業終了後に預けると、翌営業時間までに整備・点検を終了させることが可能だという。これが実現できるのは、トラックの入庫から出庫までは、「ひと筆書き」の1ルートで整備ができる配置になっているからだ。これにより、整備士はほとんど移動することなく、その場に備え付けられた工具や機器を使用して整備・点検を実施できるから、効率的な作業が可能なのだ。

 トラック業界は中小事業者が多いことで、経験則によるアナログ的な仕組みが根強く残っており、ICT化やDX化などによる業務の適正化が進んでいない。そのため、「物流の2024年問題」などによってこれまでの問題が一挙に噴出し、物流が危機的な状況に陥ってしまったのだ。しかし、現在は業界を挙げて業務の最適化に取り組んでいる。まだ、緒に就いたばかりかもしれないが、今後の動きに注目していきたい。


この記事の画像ギャラリー

新着情報