天才タマゴの天才たる所以はドコにある? 初代エスティマは大ヒットはしなかったが今考えても凄いクルマだった (2/2ページ)

EVとなった「天才タマゴ」の復活に期待

 パッケージングの特徴は2-2-3席の2列目キャプテンシートを採用。3列目席はいまでは多くのミニバンに採用される左右跳ね上げ式である。また、4速ATをコラムシフトとして、フラットフロアを生かした2-3列目席スルーだけではなく、1列目席左右のウォークスルーも実現していたのだ。

 インテリア、とくにインパネまわりはかなり攻めたデザインで、中央部分が大きく手前にせり出した、左右を分断したボリューム感たっぷりの仕立て。まさにエッグシェルのなかにいるような特別感、先進感たっぷりだった。実際、いま見ても、現代に通用しそうなデザイン性のもち主だったのである。

 装備面では、クロスフローファンを採用した超薄型オーバーヘッドデュアルオートエアコン、CDプレーヤー付き9スピーカー、5アンプのエスティマライブサウンドシステムを標準装備したほか、ツインムーンルーフをオプション設定。こちらは非装着車と室内高が変わらないように、外装式となっていた。

 初代エスティマは北米や欧州でも「プレビア」の車名で販売されていたのだが、2.4リッター直4エンジンでは力不足という声もあり、1994年にはスーパーチャージャーを備えた160馬力のエンジンが追加されている。

 そんな、まさに「天才タマゴ」な初代エスティマだったのだが、時代が早すぎたのだろうか、大ヒット作とはならなかった。その理由のひとつが、1994年に登場した、日本のミニバンブームの火付け役となったホンダ・オデッセイの存在だったはずだ。こちらは乗用車ベースでエンジンはその後のミニバンの定番となった横置きで、乗用車感覚で乗れるホンダ独自の低床プラットフォーム、フロントの見切りのよさなどがあり、日本の多人数乗用車、ファミリーミニバンのパイオニアとして空前の大ヒット作となったのである。

 もっとも、2000年にデビューした2代目エスティマはエンジンを横置きした前輪駆動方式に改められ、V6エンジンを用意。低床プラットフォームに刷新したこともあって人気沸騰。2001年6月には国産ミニバン初のハイブリッドモデルを追加。2006年から2020年まで生産、販売された3代目をもって、トヨタの販売チャンネル廃止による車種整理もあり、約30年のエスティマの歴史に終止符を打つことになる。

 さて、生産終了から5年たったいま、新型エスティマの登場がウワサされている。スバルと共同開発したEV専用プラットフォームを用いた、これまで実現が難しかった電気自動車、PHEVのミニバンとして復活するかも知れない。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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