コンパクトハッチがアメリカの量販セダン同様の道をたどる可能性
日本国内でレンタカーとして利用頻度が高いのはコンパクトハッチバックが属するクラスだ。筆者もよくヤリスの1リッターエンジン搭載車にお世話になっている。筆者が借りているレンタカー会社では、アクアは1クラス上となっており、ほかのレンタカー会社では、フィットやスイフトも多く見かけることがある。
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筆者はたまにルーミーを引きあてることがあるのだが、レンタカー会社のスタッフに聞くと「フリーチョイスでルーミーが当たるのはまれですよ、背が高くて荷物も多く積めるなど使い勝手もよいので、ルーミーはたいてい指名して借りるひとが多いですので」と話してくれたことがある。3列シートで多人数乗車ではなくとも、一般的なスタイルのハッチバック車よりは背の高いMPV(多目的車)のほうがレンタカーでも人気が高まっているようである。
インバウンド(訪日外国人観光客)の増加もあってレンタカー需要は増えており、そのレンタカー車両供給で目立つのがコンパクトハッチバックとなっている。
このようなレンタカーをはじめ、フリート販売での需要が多いことは再販価値の低下を招いている。あくまで販売現場の話なので多少話を盛っているようにも感じるが、たとえばヤリスクロスでは5年後でも残価率ベースで50%近くの再販価値となるようだが、ハッチバックのヤリスでは20%台を維持するのが精いっぱいとの説明を受けたことがある。
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話をしてくれたセールスマンはそんなこともあるので、ヤリスクロスでは価格上昇や3ナンバーワイドボディになってしまうので、同じクロスオーバーSUVスタイルとなるライズを勧めるようにしているとも話してくれた。ライズやヤリスクロスもレンタカーやカーシェアリングで用意されていることがあるが、ヤリスハッチバックほどの台数は用意されていないし、いまどきはSUVというだけで再販価値も底上げされてしまうため、目立った再販価値の下落というものは起こっていないようだ。
ノートオーラもノートの派生車種となるので、プレミアムコンパクト的な色合いが強くても、再販価値は同クラスSUVに比べれば期待はできないレベルで推移しているようである。
いまでは高速道路走行も難なくこなすようになった軽自動車だが、やはり登録車となるコンパクトハッチバックのほうが、長距離利用など利用範囲に広がりが出てくるだろう。登録車となるので維持費は高くなってしまうが、やっぱり登録車ということで、軽自動車ではなくコンパクトハッチバックを選ぶひともまだまだいるようだ。
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アメリカでは量販クラスのセダンはほぼレンタカー需要のために残っているようなイメージを受ける。とくにアメリカンブランドでは実用モデルに限れば、シボレー・マリブがセダンとしてもアメリカンブランドとしてもほぼ一択状態で残っており、レンタカーで借りることのできるセダンもマリブばかりとなっている。そのため、街なかで見かけるマリブの多くはレンタカーと判断できるものばかりだ。
日本ではコンパクトハッチバックが、アメリカにおけるシボレー・マリブのような存在(ほぼほぼレンタカー専用的存在)になってしまうのだろうか。