満を持して日本で本格始動した韓国の「ハンコック」ってどうなの? 最新タイヤ3モデルを徹底的に試した (2/2ページ)

日本のタイヤ市場を席巻しそうなハンコックの実力

 次に、オールウェザータイヤとして新登場した「ウェザーフレックスGT」を試す。装着車はトヨタ・ハリアーAWDモデルだ。

 ウェザーフレックスGTは、近年流行のオールシーズンタイヤとしてラインアップされた。そのトレッドパターンは細かなサイプとブロック配列が特徴的で、雪道に強そうな印象を与える。また、パターンノイズを低減する不規則ピッチ幅の採用や、ブロック剛性を高める加工技術が施され、雪道だけでなく夏場の乾燥路やウエット路面でも安定したグリップを発揮するという。

 実際に走らせてみると、発進や減速時のグリップ応答性に優れている。スタッドレスタイヤで舗装路を走る際のような応答の遅れがなく、通常のサマータイヤと遜色ない。それでいてノイズも少なく、室内は静かで快適だ。

 今回は雪道での実力を試すことはできなかったが、今冬に機会があれば国内の雪道で他社製品と走り比べてみたい。

 次は、高性能タイヤとしてハンコックブランドの頂点に位置付けられる「Ventus evo(ヴェンタス エボ)」だ。モータースポーツで培われた技術を融合し、すでにポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWなどに純正採用されている。

 4本の深いストレートグルーブを中心に、ブロック剛性の高そうなトレッドデザインからも高性能が伝わってくる。

 ただし試乗車は、2世代前のクラウンセダン・ハイブリッドだった。FRセダンにも適していることを示したいのか、その意図は不明だが、生憎天候が急変しヘビーウエット路面のみの試乗となった。

 重い車重、古いシャシー、ハイブリッドによる控えめなパワーの組み合わせでは多くを語れないが、あえてVSCをオフにしてスライド領域のコントロール性を試した。その動きはバランスが取れており、過大なスリップアングルになってもブロック剛性が高く、挙動変化は少ない。

 ただ、本来なら高性能車に装着され、サーキット走行もこなせるほどの実力を備えているはずだ。こちらも機会があればサーキットで試してみたい。

 今回さらに、スズキ・ジムニー/ジムニーシエラ専用サイズのオールテレインタイヤ「ダイナプロAT2 Xtreme」もラインアップされていたが、こちらは展示のみ。見た目の迫力から、クロスカントリータイヤとして人気を博しそうだ。

 モータースポーツや欧州で実績を積み上げてきたハンコックタイヤ。国内で今後どのような評価を受けるのか、注視していきたい。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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