いくらでも新しいクルマはあるのになんのコダワリ? 旧車でジムカーナに挑む全日本選手に聞いた「Youはどうして旧型モデルで参戦中?」 (2/2ページ)

「好きだから」戦い続けられる

 また、BC2クラスにRX-7(FD3S)で挑む飯野哲平選手もなかなかのRX-7マニアで、「子どものころからずっとFDが好きで、免許を取ったら絶対に乗ろうと思っていました。というのも、スタイリングがカッコいいですからね。大学の自動車部に入ってからジムカーナの存在を知ったんですけど、FDで活躍している選手がいてそれに憧れまして、自分もFDでジムカーナを始めました。途中でMR2に乗ったこともあったけれど、またFDに戻ってきてました」と語る。

「マツダがパーツを出しているので部品には意外と困らないし、きちんとメンテナンスをすれば壊れることもないので旧型モデルでも困りません」と語っているだけに、飯野選手もRX-7でのジムカーナライフを続けていくことになりそうだ。

 そのほか、1992年式のホンダNSX(NA1)でBC2クラスに挑む渡辺公選手も、もともとはNSX好きで、「最初はランサーでジムカーナをやっていたんですけど、会社を起業したこともあって、仕事が忙しく競技を辞めていました。その後、仕事が落ち着いてきたし、仕事ばかりしていてお金を使うこともなかったので、ずっとほしかったNSXを買ったんですけど、そのうち、ブレーキを変えたりデフを変えたりとカスタマイズしていくうちに競技に出てみよう……、ということになりまして、2005年にNSXで全日本ジムカーナへ参戦することになりました」と語る。

 以来、渡辺選手はNSXでの20年目の全日本シリーズを迎えているわけだが、「古くなってくると、エンジンのハーネスを変えたり1速のギヤが欠品したりと修理に苦労しました」とのこと。現在はNSX専門店のサポートにより、トラブルにも対応できるような体制となっているようで、「じつはRFのロードスターをもっていて、そちらで走行会に参加することもあるんですけど、やっぱり競技にはNSXで出たい」と語っているだけに、今後も渡辺選手は走行距離が25万kmを超えたNSXでアタックをしつづけることになりそうだ。

 そして、飯野選手と同様に1992年式のRX-7(FD3S)でBC2クラスに挑む藤井雅裕選手もRX-7のファンを公言しており、「最初はシビック(EK9)でジムカーナを初めて、そのあとにデミオで競技をやっていたんですけど、もともとFDに乗りたくて、RX-7に乗り換えました。やっぱりRX-7はデザインがカッコいいし、ロータリーエンジンでハイパワーということがポイント。RX-7に乗ったあとにNDのロードスターで全日本へ出場したことがあったんですけど、物足りなさを感じてすぐにFDに戻りました」と語る。「最新モデルへ乗り換えたいという思いはありません」と語っているだけに、藤井選手もまたRX-7でジムカーナへ挑戦しつづけていくことになるだろう。

 以上、簡単に全日本ジムカーナ選手権へチャレンジする旧型モデルのドライバーたちに話を聞いてみたが、その最大の理由は「好きなクルマで競技をしたい」および「パーツが安くてコスパがいい」といったもので、車種選択の基準は極めてシンプルになっているのである。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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