もしもMINIがなかったらコレが走ってたってマジですか!? ミッドシップで3人乗りのBMW「Z13」は名車か迷車か? (2/2ページ)

もしもMINIがなかったら市販されていたかもしれない

 Z13はアルミフレームとアルミボディによるコンストラクションで、E30で使用されていたマクファーソンストラットやセミトレーリングアームを流用。ミッドシップ化による改良も施されたようですが、前述のバイク用エンジン(K1200用1.2リッター4気筒)が軽量かつコンパクトだったため、「特段の強化は不要だった」とパウエルがコメントしています。

 1993年のジュネーブショーで発表されたZ13は、その時点で走行可能なプロトタイプでした。エンジンは100馬力から、中低速重視の84馬力へとチューンされ、車重880kgという軽自動車並みの車体をグイグイ走らせたとのこと。実際、Z13はストーラによって2台作られていて、ショーのあとでパウエルが普段のアシに使ってテストをしていたのだとか。

 この際、フロントからルーフ途中まで広がったウィンドウが良好な視界をもたらしたことはもちろん、「エアコンが役立った」というほど陽射しが入ることが確認されました。また、ちょっとしたファニーフェイスに対し、リヤセクションはブリスター風にフェンダーが広げられたほか、大きなエアインレットがミッドシップを物語り、スポーツカー風味も感じられるもの。

 Z13プロジェクトは試作車で路上テストを行うなど、量産が約束されたかに見えていましたが、1994年にBMWがローバーグループを通じてミニを買収したことによってすべてキャンセル。復活したミニは、たしかにBMWの屋台骨を支えるまでのヒット作となったものの、Z13もまた思わぬヒット作になったかもしれないと思うと、パウエル同様「逃した魚は大きい」とため息が漏れてきそうです。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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