「赤なげーな!」とかイラつかないで! 信号は「3つの方式」でスムースな交通を実現するようめちゃくちゃ緻密に運用されていた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■信号には運用方式によっていくつかの種類にわけられる

■定周期式・感応式・時差式の3つが存在する

■異なるシステムを使いわけることで日本の円滑な交通が成立している

見た目は同じでも動作の仕組みはまったく異なる

 日本全国の交差点で、私たちの交通を安全に導いてくれる信号機。だが、じつは運用方式によっていくつかの種類にわけられることをご存じだろうか。単純に赤・青・黄色の3色で交通を制御しているように見える信号機も、その背後では定周期式、感応式、時差式という異なる制御方式が採用されている。これらの違いを理解することで、日常のドライブがより興味深いものになるはずだ。

<もっとも一般的な定周期式信号機>

 もっとも一般的で歴史の長い信号機が定周期式信号機だ。この方式は、あらかじめ設定された一定の時間間隔で赤・青・黄色の信号が切り替わる。たとえば赤信号が57秒、青が60秒、黄が3秒といったサイクルが24時間継続して繰り返される。

 この方式の特徴は、交通量の多少に関係なく常に同じタイミングで信号が変わること。朝の通勤ラッシュ時も、深夜の交通量が少ない時間帯も、まったく同じサイクルで動作する。そのため、ドライバーにとっては信号のタイミングが予測しやすく、慣れた道では「あの信号は長いから」「ここは短い青だから急いで」といった感覚で通過できる。その反面、深夜の交通量が少ない時間でも赤信号で長く待たされるという事態も発生する。

 設置コストが比較的安価で、メンテナンスも簡単であることから、現在でも多くの地方都市や交通量の少ない道路など多くの交差点で採用されている。とくに交通量が比較的安定している住宅街や、複雑な制御が不要な単純な交差点では、定周期式が最適解となることが多い。

<賢く交通をさばく感応式信号機>

 感応式信号機は、定周期式とは対照的に、リアルタイムの交通状況に応じて信号のタイミングを調整して動作する仕組みである。車両感知器や信号機に設置されたカメラやセンサーが、接近する車両や歩行者を検知し、その情報に基づいて最適な信号制御を行う。

 この方式の大きなメリットは、無駄な待ち時間を削減できることである。たとえば、交通量の少ない深夜の交差点で、車両が来ない限り赤信号を維持し、検知したら即座に青に切り替わる。また、歩行者用の押しボタン信号も感応式の一種で、歩行者が横断ボタンを押したときのみ歩行者用信号が青になる仕組みだ。

 感応式信号機は、とくに幹線道路と支線道路が交差する場所や、時間帯によって交通量が大きく変動する交差点で威力を発揮する。主要道路の交通流を優先しつつ、支線道路から車両が来たときにだけ信号を切り替えることで、全体的な交通の流れを最適化している。これにより無駄な待ち時間を減らし、全体の交通効率を向上させることができる。

 最近の感応式信号機はAIやディープラーニングを活用し、より高精度に交通量を予測・制御するものも一部自治体で導入が進められている。ただし、センサーやコンピュータシステムが必要なため、設置・維持コストは定周期式よりも高くなる傾向がある。


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