一般的なモータースポーツクラブとは異なる独特な雰囲気
──これまで大学を卒業したら、モータースポーツ活動を行っているクラブに所属して競技に参戦するパターンが一般的でしたが、藤原大学はまた違う形態の集まりですよね?
三浦選手:もちろん、各メンバーはそれぞれクラブに所属していますが、年齢が近くて、ノリの合う「身内」のような感覚のメンバーとワチャワチャしながら活動するのが楽しいので、藤原大学自動車部は既存のクラブとはまた違う拠り所になっています。
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──たしかに、メンバーと同じ大会に参戦すれば、工具やテントなんかもシェアできて効率がよさそうですよね? それにサービスを手伝ってくれるメンバーもいるので、ひとりで参戦するよりメリットが多そうですね。
三浦選手:そうです。今大会のようにFUACとしてパドックを組むことができるので、サークルを結成してよかったと思います。
──藤原大学自動車部として独自のイベントはやってないんですか?
三浦選手:過去に現役大学生を対象にした練習会は開催したことがありますよ。
──おおっ、現役の各大学の自動車部とも交流があるんですね?
三浦選手:現役の各大学の自動車部員たちを囲い込んで、地方選手権とかに誘って、ダートトライアルを辞められないような雰囲気を作っています(笑)。
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──リクルートのように「青田買い」ですね。
三浦選手:ダートラ以外の楽しみをシャットアウトして、「この世で楽しいのはダートラだけ」と思い込ませる、いや、教えてあげるのが、藤原大学の教育方針です。こうして、週末はダートラコースに行くしかない若者を増やしていきたいと思います(笑)。
──なかなかの洗脳ですね(笑)。
三浦選手:結果としてダートラ以外の趣味がない……という若者もいるので、藤原大学としては成功しています(笑)。
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──ちなみに、先週末(9月13~14日)、全日本ジムカーナ選手権の第7戦「スーパースラロームIN久万高原」を取材してきたんですけど、BC2クラスに参戦していた飯野哲平選手も藤原大学のメンバーなんですよね?
三浦選手:そうです。ジムカーナ部隊は少ないけれど、それでも「七大戦」のOBで、ジムカーナをメインにやっているメンバーもいますね。
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──ラリー部隊で有名なところは誰ですか?
三浦選手:ラリーでしたら、フィンランドでラリーをやっている山本くん(注:山本雄紀選手/トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムの2期生としてフィンランドで活動中)や松下くん(注:松下拓未選手/トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムの3期生としてフィンランドで活動中)も藤大メンバーです。彼らも日本で地方選手権を走っていたときはFUACのステッカーを貼っていました。
──いろんなところで藤原大学のメンバーが活躍していますね。
三浦選手:Bライカテゴリー(注:JAF国内B級ライセンスで参加できるカテゴリー。主にラリー/ジムカーナ/ダートトライアル)では顔が広くなってきましたね。藤原大学自動車部では、やる気のある若者を一本釣りして入部してもらっていますので、今後も少しずつメンバーを増やしながら活動していきたいと思います。
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このように、藤原大学自動車部は、クラブチームとはまた別の組織として活動。しかし、その雰囲気は自動車部のような明るいテイストで、その仲間同士の楽しさがリラックスしたムードを作るほか、時にはライバル心を刺激することから、藤原大学自動車部のメンバーは全日本シリーズでも各クラスで活躍しているのだろう。
実際、奈良選手はシートメーカーの「BRIDE」、増田選手はロールケージやアンダーガードで有名な「オクヤマ」など、名門サプライヤーからサポートを受けるメンバーも少なくないだけに、今後も藤原大学自動車部のメンバーが、ダートトライアルの最前線で活躍することになりそうだ。