3000馬力で最高時速496キロの怪物EVなんて世に解き放っていいの? ヤンワンU9エクストリームを30台限定で発売の驚き!! (2/2ページ)

さらに究極の進化を遂げたヤンワン「U9エクストリーム」

 ちなみにエクストリーム(Xtreme)という名前は、「extreme=極限・極致」と「X=未知・境界」に由来する。前作のトラック・エディションよりもサーキット走行にフォーカスし、車両のハードウェア、ソフトウェアを全面的にアップグレードしたエクストリーム。その進化の内容を簡単に紹介しておく。

 まず、強化されたのは冷却システムだ。大流量のオイルポンプと立体的なモーター冷却方式を採用して、システム熱効率は133%向上。サーキット仕様のブレードバッテリーもセル設計と内部抵抗が最適化され、新開発の2層冷却構造との組み合わせで高い放熱効率、加速性能、そして回生制動性能を大幅に向上した。

 そして今回は、過酷なノルドシュライフェでのタイムアタックがテストに加わったこともあり、ブレーキシステムの強化や、制御アルゴリズムの再調節も実施。ブレーキディスクは通気孔とスリットを備えた軽量なカーボンセラミック製に、またキャリパーには、軽量高剛性を誇るチタン製が採用された。

 タイヤは2024年のテスト以来、ヤンワンとともに専用タイヤを開発してきた佳通(ジーティー)タイヤによるセミスリックだ。これには防弾衣にも使用される超高強度アラミド繊維が用いられ、500km/h領域での形状変化も抑制。非対称トレッドパターンにより高速コーナリング時のグリップ性能とともに、ウエット時の排水性能を両立。サイドウォールの強化構造は超高G旋回時にも安定した操縦性を実現する。

 そして、実際に走行テストへと導かれたU9エクストリームは、ATP試験場とノルドシュライフェで、衝撃的な記録を樹立する。まずATP試験場で記録された最高速は、8月に達成された472.41km/hをさらに23.81km/hも上まわる、496.22km/h。そして、ノルドシュライフェでは6分59秒157というラップタイムが刻まれた。

 ちなみにこれは、最新のラップタイム記録でベスト20にランクされるもの。ヤンワン、そしてBYDのもつ技術力の高さはこのふたつのテストで見事に証明されたことになる。

 そして、ヤンワンからはさらに刺激的な話題が発信されている。それは、このU9エクストリームが30台の限定車として販売されることが決定したというニュース。それがEVスーパーカーの頂点を再定義するモデルの1台であることは、今回のテストの結果からも間違いのないところ。すでにヤンワンのもとへは、多くのカスタマーからのオーダーが寄せられていることだろう。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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