この記事をまとめると
■スバル・ソルテラが大幅改良で出力252kWへとパワーアップした
■ボディ剛性や足まわりを徹底的に見直すことで静粛性と安定感が飛躍的に向上した
■FFは746kmでAWDは622kmという航続距離を達成して完成度はもはや別モノだ
ソルテラがフルモデルチェンジ級の改良実施
スバルのBEV(バッテリー電気自動車)「ソルテラ」が大規模な改良を受け大幅に進化した。今回、群馬サイクルスポーツセンターのクローズドコースにおいて、そのプロトタイプ車をテストする貴重な機会を得た。スバルは今回の改良を「フルモデルチェンジに近い」というほど力を入れており、ストロングHVの登場で沸くスバリストだけでなく、世界中のユーザーにBEVの存在感を高めようとしている。
実車を見ると、確かに大きく印象が変わった。全体的なディメンションやルーフラインなど、シルエット的には変更がないように見えるが、フロントグリルまわりのデザインが一新され、ホイールアーチを飾る樹脂モールの処理も質感が高まっている。また、ボディと同色の仕様も上級グレードに設定され、大きなイメージチェンジを図っていることが伝わってくる。
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ヘッドライトまわりのデザインは、2025年4月にその存在が明らかとなったトレイルシーカーや、同7月に北米/欧州で発表された「アンチャーテッド」といった新型BEVとイメージの共通化を図り、足並みを揃えたという。
コクピットに乗り込むと、ダッシュボードやインストルメントパネルのデザインも生まれ変わっている。上下が水平フラットな楕円形状のステアリングホイール上越しに見るメーターレイアウトこそ継承されているが、センターコンソールの、置くだけ充電ができる2台並列の携帯置き場、ユーティリティやカップホルダーの配置などが一新されている。また、デザインや質感も高まったといえる。
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しかし、今回のモデルチェンジでもっともトピックスとなっているのはパワートレインの強化と、それを伝える足まわりのセッティング、ボディ剛性の向上だ。
電動のパワートレインは、従来モデルでAWDの場合フロント80kW・リヤ80kWの駆動モーターを配置していたが、新型はフロント165kW・リヤ87kWとなり、システム出力は160kWから252kWへと大幅にパワーアップされたことになる。ちなみにFF前輪駆動モデルは、従来150kWだったものが165kWとなり、こちらも強化されている。
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これほどのパワーアップに適合させるには車体の剛性アップは不可避であり、またサスペンションもバネレートの見直しとダンパーのファインチューニングが施されている。
まずはFF前輪駆動モデルを走らせてみる。クローズドコースゆえアクセル全開加速を試してみたが、駆動力制御は完璧で、トラクションコントロールの介入もほとんど感じないまま力強くダッシュしていく。
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コースの路面はバンピーで、サスペンションには路面追従性のよさとダンピング性能が求められるが、新型ソルテラは見事に4輪の接地感を保ち、安定した走行フィールでコーナーに入っていける。また、路面からの突き上げや振動、いわゆるNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)が抑えられ、静粛性も高まっていて快適だ。
フロア下に大容量バッテリーを抱えているが、重心が低くなり、ボクサーエンジンで低重心のハンドリングを追求してきたスバル車らしい安定した操縦性が実現されている。
一方、車体剛性が高まり、とくに捻り剛性に強さが感じられる。FFゆえに後輪からのトルク電動は起こらないので、むしろオーバースペックなほどの剛性感は快適性の保持に役立たせているようだ。