ゴードン・マレーが新たな組織を誕生させた! 早速発表された「S1 LM」と「ル・マンGTR」ってどんなクルマ? (2/2ページ)

機能性と美しさが完璧に融合されたロングテールデザイン

 一方のル・マンGTRは、1970年代から1990年代までモータースポーツシーンに数多く登場した、ロングテールマシンからインスピレーションを得たGMSVのオリジナルモデル。マレー自身は、ロングテールデザインを機能性と美しさが完璧に融合されたものと評するが、このル・マンGTRの姿を見てもそれは間違いではないと理解できる。

 フロントノーズからルーフを経てロングテールへと連続する流麗なラインは、まさに優秀なエアロダイナミクスを可視化したかのような造形であり、ダイナミックなデザインの前後フェンダーはフットワークの力強さを巧みに表現している。

 モノコックはT.50のそれをベースにアップデートが施されたもので、T.50ではいずれもカーボンファイバー製のモノコックとボディを採用することで、それだけで150kgという重量が実現されていたから、このル・マンGTRにおいても同等の軽量性が得られているに違いない。

 ル・マンGTRのエンジンは、T.50の存在を考えるとおそらくは3.9リッターのV型12気筒と考えるのが妥当だろう。ただし、その最高出力は、T.50の663馬力からさらに強化される可能性もある(参考までにT.50のサーキット仕様車、T.50s ニキ・ラウダは710馬力を発揮した)。

 ミッションはやはり6速MTのみの設定。サスペンションや冷却システムなどが、ル・マンGTRのために専用設計されたものであることは言うまでもない。

 ル・マン24時間レースでマクラーレンF1 GTRが勝利したことをオマージュするGMSVのル・マンGTRは、やはり2026年から24台の限定で生産が行われる見込み。先に触れたS1 LMと同様に、そのすべてにはすでにオーナーが決定しているという。

 今回発表された「S1 LM」と「ル・マンGTR」をはじめとする車両を手掛ける、「GMSV」という新たなビスポーク部門の誕生によって、ゴードン・マレーの率いるGMAのビジネスはこれからさらに積極的なものになっていくことは確かなところだ。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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