史上最高の猛暑だった2025年の夏! それでも昭和オヤジが心配する「オーバーヒート」に陥るクルマを見かけないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2025年の夏は観測史上最高の暑さだったが現代のクルマはほとんどオーバーヒートしない

■電動ファンや電動ウォーターポンプの採用が冷却効率を高め高温下でも安定走行を実現

■熱効率向上で排熱が減り冷却負荷も軽減したためオーバーヒートは過去の現象となりつつある

いつの間にか聞かなくなった「オーバーヒート」

 10月になって、ようやく秋めいてきました。それにしても、2025年の夏は史上最高に暑い夏でした。気象庁の発表している観測史上最高気温の上位5地点はすべて2025年に記録されていると聞けば、史上最高に暑い夏というフレーズが大げさでないことも理解できるでしょう。

 しかしながら、これだけ気温が上がったのに、最近のクルマはほとんどオーバーヒートをしなくなりました。昭和の時代は、ちょっと暑くなるとオーバーヒートにより「エンコ(エンジン故障)」してしまうことが多かったことを考えると、まさに隔世の感ありです。

 なぜ、これほど暑さに強くなったのでしょう。

 水冷エンジンの冷却液として使われるLLC(ロングライフクーラント)の沸点(許容温度)は、昭和のころから大きく変わったとはいえません。ラジエターほか水冷にかかわる部品の性能や制御が進化していることが、暑さに強いクルマを生んでいるのです。

 わかりやすいところでいえば、クーリングファンがあげられます。もともとは走行風によってLLCを冷却するのがラジエターですが、そのアシストをするのがクーリングファンの役割です。

 かつて、エンジン縦置きのリヤ駆動(FRレイアウト)が主流だった時代には、クーリングファンはエンジンのクランクシャフトによって直接回す仕組みがスタンダードでした。このシステムの欠点は、エンジン回転数が低いときにはファンの回転も少なくなり、冷却性能が落ちること。渋滞をアイドリングくらいのエンジン回転数で走行しているとファンによる冷却効果が小さくなってしまい、オーバーヒートにつながることが多かったのです。

 しかし、エンジン横置きのFF車が主流となっていったころから、ラジエターを冷やすクーリングファンの電動化が進みました。エンジンがアイドリングであっても、しっかりファンを回すことができるので、十分に冷却水を冷やすことができるようになったのです。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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