事故のもとになる違反が横行している現実
一時停止の不停止や、「横断歩道等における歩行者等の優先」に関する制服警官による目視での取り締まりは、昨今それなりに行われているようだが、ドライバーではなく歩行者としての立場から見ると、「歩行者側方安全間隔不保持等」に関する取り締まりをもっと活発化させられないか? というのはある。
道路交通法第十八条の2によれば、「車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない」と定められている。
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だが実際に筆者が自宅近所の「歩道と車道の区別のない道路」を歩行者として歩いている際の肌感覚からすると、この条項を日頃から遵守しているドライバーは全体の半数程度といったところか。残る半数程度は、徐行するでもなく、安全な間隔(1~1.5m)を保つわけでもなく、さほど減速しないまま筆者の30~40cmほど横を疾走していく。
おかげさまで筆者はとりあえず健康体だが、とはいえもはや中高年ゆえ、歩いていればなかにけつまずき、車道側にヨロリとなってしまう可能性もなくはない。そんなとき、筆者の横30~40cmほどの位置を推定時速30~40km/hほどで走り抜けようとしているドライバーは、F1パイロット並みの技術と反射神経で私を避けてくれるのだろうか? たぶん無理であるはずゆえ、警察官各位におかれては、道路交通法第十八条の2に関する取り締まりの活発化を望みたいところだ。
そのほか、「高速道路の追い越し車線にトロい速度で居座りつづけるドライバー」や「いわゆるイエローカットをするうつけ者」などもビシビシ取り締まってほしいわけだが、とはいえ、いうは易し、行うは難しではある。
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ここまでに挙げた各種の「現状、あまり取り締られてない類の違反」をすべてきっちり網羅して検挙しようとなると、交通警察官の数を少なくとも現状の1000倍にするか、もしくは日本全国の道路という道路、交差点という交差点に、なんらかのセンサーを用いた機器を設置しまくる必要がある。
そして前者の施策、すなわち「警察官1000倍増量計画」を行うと、各都道府県および日本国の財政がパンクし、後者の施策を実行すると、日本国は超絶監視社会化したディストピアになる。そもそも、そんな数の機器を設置する予算もないだろう。
つまり、筆者がここまで書いてきたことはすべて絵空事であり、実際にはすべてのドライバーが「自動車がもっている凶器にも似た部分」を自覚し、それぞれの運転モラルを向上させていくほかないのだ。それが、本当にできるかどうかは別として。