まだまだ改善するポイントが多いのが実情
滞在中は無人タクシーに関するトピックがいくつか報道されていた。
まずはロサンゼルスエリア内で無人運転タクシー車両が火災を起こしたというトピック。報道では駆動用電池が火元ではないというようなことを強調していて、利用者が起因(放火など)したのではないかも含め、引き続き火災原因を調査していくとのことであった。この報道直後から、主要メディアではBEV(バッテリー電気自動車)は燃えやすいみたいなリポートがテレビニュースで目立っていた。
続いては北カリフォルニア地域からのトピックとして、地元警察官がUターン禁止区域で違法なUターンを行ったとのことで、その場で無人運転タクシーを停車させたとのニュース(停止命令を出すとそれに従うようだ)。
アメリカのUターン禁止標識画像はこちら
しかし、停車させてみたものの、運転士はもちろん乗客もいない空車だったようで、車内は完全無人で警察官も途方に暮れたようである。現状では警察から管理者へ連絡し、違反行為をしないようにシステムのブラッシュアップを促すことになっている。無人運転タクシーの違反行為の取り締まりについての法制化が進んでいるとの報道も見受けられた。
現地の報道を見ているとこのほかにも、停車して生徒を降車させていたスクールバスの直近をUターンする無人運転タクシーの動画が拡散されるなど(アメリカでは対面通行でスクールバスで生徒が乗降しているときは両方向とも乗車が終わるまで、後方などにいる車両は停止して待たなければならない)、無人運転タクシーが違反行為を犯すことはほかにもあるようだ。さらに、豪雨による洪水被害が出ているなか、濁流に取り残された無人タクシー車両の動画も拡散されていた様子だ。
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アメリカでは働き手不足というよりは、運転士による車内での犯罪行為が無人化でなくなり、安全な公共輸送機関になることも狙って普及している一面もあるように見える。テレビの弁護士事務所コマーシャルでは、ライドシェアドライバーから犯罪行為を受けたら遠慮なくご相談をとPRしているので、根本的な解決手段は車内の無人化ということにもなっているようだ。
ただし、前述した車両火災のように、まだ疑いの段階とはいえ利用者のいたずらという可能性も捨てきれない現状を見ると、無人運転タクシーが新たな犯罪の温床にもなりかねない様子になっている。
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また、2025年6月に、ロサンゼルスで不法移民の取り締まりに抗議するデモが起きたときは、一部暴徒と化したひとが、近くにいた無人タクシーに次々と火をつけたとのことで、デモのようなことが起こった際の無人運転タクシーの速やかな避難のあり方といったことが議論されたとの報道もあった。
タクシーというものは古くからあるが、無人で動くようになったのはここ最近の話。いままでのタクシーでは想定できないことが起こるのも珍しくない。ひとつひとつ起きた問題を解決して、より安全で利便性の高いものにしていくことしかないようである。