BEVはいいクルマがあれば売れる……とはいかない! 「4年縛りルール」「販売員のBEV知識取得」と売るためのハードルはかなり高かった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スズキeビターラ発表で国産BEVに注目集まるなかでトヨタや日産が動きを強める

■再販価値の低下や「4年しばり」などBEV特有の購入・ファイナンス事情が浮上

■販売現場の知識やサポート体制の差がBEV販売の成否を大きく左右する段階に

ようやく各メーカーが動きを見せてきた国内BEV市場

 世界的には元気のなくなっているBEV(バッテリー電気自動車)ではあるが、先日スズキがクロスオーバーSUVスタイルのBEVとなるeビターラの国内正式発表を行うと、それを中心にBEVが日本国内では注目を浴びている。

 トヨタもすでにラインアップしているbZ4Xの改良版を近々発表し、地域によっては補助金を最大限活用すると支払総額で400万円を割り込むモデルも用意され、現場のセールスマンへも積極的な販売促進活動を行うように指示がきているとも聞いている。

 いままでは、日本国内における、とくに日系ブランドでは日産がBEVでは孤軍奮闘していたような印象を受けている。初代リーフにはじまり、軽自動車規格BEVとなるサクラなど積極的なBEVのラインアップが目立っていたが、状況は変わってきているのかもしれない。

 外資系でも中国系となるBYDオート(比亜迪汽車)がBEVでは普及価格帯ともいえるモデルをラインアップしており、確実にその存在感を日本でも増してきているように見える。

 ある意味すでにBEV販売に「慣れている」日産やBYDの販売現場へ赴いて話を聞いていると、ローンやリースなどファイナンス面での充実も大切になってくるものと感じた。ICE(内燃機関)車よりもまだまだ性能面で伸びしろのあるBEVでは、ブランドにかかわらず再販価値の下落スピードがICE車より速めに推移しているのが悩みの種となっている。

 そのようなこともあり、販売現場では「BEVは現金一括払いでの購入は考えものですよ」とアプローチするセールスマンもいる。しかも、BEV購入についての政府補助金交付が日本でも用意されているが、補助金交付を受けると初度登録(軽自動車は届け出)から4年間は名義変更、つまり売却はできないこととなる。

 一般的なマイカーローンでは36回、60回などと車検到来に合わせた支払回数が用意されているのだが、日産の場合はBEVに、そして本稿執筆時点ではBEVしか用意のないBYDでは扱い車種全般に、名義変更を行ってはいけないという「4年しばり」に合わせたローンプラン(48回払い)を用意している。

 BYDで聞いたところでは、車種にもよるようだが4年後の残価率を40%ほどに設定しているとのことであった。ある欧州系ブランドディーラーでは再販価値の下落が速いので「新車よりも中古車で買ったほうがBEVはお得です」とアプローチしていた。

 残価設定ローンについてはさまざまな意見があるかもしれないが、再販価値への不安のあるBEVでは有効性が高いともいえる。それでも補助金の一部返還を覚悟の上で、4年しばり期間中に同じブランドのICE車へ乗り換えるというケースも目立つ。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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