ICE車とは売り方も支払いも事情が異なる
現金一括やローン利用では、「新車を購入する」ということになるが、ファイナンス会社名義のクルマを借りて乗り続けるという「カーリース」を活用するのもBEVでは効果的かもしれない。この点では、すでにトヨタは個人向けカーリースとなるKINTOを展開し、知名度も上がっているので、トヨタ系ディーラーがBEVを売りやすい環境にあるように見える。
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スズキeビターラの公式ウェブサイトにある見積りシミュレーションではローンシミュレーションもできるのだが、用意されている残価設定ローンは60回(5年)払いのみであった。最終回、つまり残価相当額として据え置かれた金額は110万4000円。そこでこの110万4000円を車両本体価格440万8000円(X)で割った、簡易的な残価率を算出すると約27%となる。
ICE車ではクロスオーバーSUVでは人気も高く、再販価値も高い傾向となるなかでは抑え気味であるが、スズキの残価設定ローン(かえるプラン)では支払期間中にメンテナンスパックが標準付帯されている。
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また、購入希望客に接するセールスマンの商品知識も重要となってくる。BEVに興味があって購入を検討しているとはいえ、そのお客にとっては日々の利用や購入に関しては知らないことだらけ。販売促進活動については正確で豊富な商品や周辺情報の提供がICE車よりは大切となってくる。
その点、日産系ディーラーでは初代リーフ以来BEVを販売してきており、「セールスマンの実体験も交えた情報提供には説得力があるなあ」と、筆者もいつも感心させられている。筆者が接した限りでは、BYDでもこと細かな商品知識を多くもつセールスマンが多く、なかには日産系ディーラーでBEVを販売してきて、BYDディーラーへ転職したというセールスマンに出会ったこともあった。
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BEVではセールスマンが購入希望客を安心させ購入に結びつけるだけの商品知識が身についているのか、そして補助金交付を受ければ「4年しばり」という独特なルールも存在するので、どこまできめ細かいファイナンスプランが用意されているかなどを購入時にチェックする必要があるし、しっかり売っていきたいのならば、メーカーも巻き込んだセールスプロモーション、販売環境整備を行う必要があるものと考えている。
現状のICE車販売のなかに単純にBEVも入ってきたというだけではなかなかBEV販売は軌道に乗らない。売る側も買う側も「BEVとはなんぞや」というものが解決しないと、話はなかなか前へ進むことはないだろう。