スマートフォンを検知する信号も増えてきた
それは、平成15年10月に警察庁からの通達が出され、道路横断時の方向性がより明確で、誘導性が高いとされる、擬音式の「異種鳴き交わし方式」の整備が進められることになったことが理由のひとつです。「異種鳴き交わし方式」とは、交差点のこちら側と反対側で違う種類の音を時間をずらして鳴らす方式で、たとえば「ピヨ」と「ピヨピヨ」、「カッコー」と「カカッコー」といった擬音が採用されています。
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また、あわせて歩行者青信号の開始をチャイム等の合図で知らせる「音響式歩行者誘導付加装置」は、令和6年3月現在で全国に4620基が設置されており、横断歩道等が所持する端末装備等や、反射シートが貼付された白杖を検出する方法などで、信号の状態や横断開始時期などの音声情報を提供する「歩行者支援装置」は令和6年3月現在で全国に896基が設置されています。
このうち541基では、歩行者が所持しているスマートフォン等に対して歩行者用信号情報を送信するとともに、スマートフォン等の操作によって青信号の延長を可能とするシステム「高度化PICS」が採用されています。
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こうしてだんだんと減っていくメロディ式ですが、日本視覚障害者団体連合によれば、利用者からは「メロディ式のほうが青信号に変わってからの時間がわかりやすい」、「メロディ式のほうが連続しているので方向が認識しやすい」といった声もあるとのこと。
さらに、音響信号機には押しボタンを押さないと音が鳴らないものと、決められた時間は押しボタンを押さなくても自動的に音が鳴るものがあり、押しボタンを押さなければならない場合、そもそもどこに押しボタンがあるのかがわかりにくいという課題もあります。
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常時「プップッ」という音を発している押しボタンがあり、これは視覚障害者にとって有効とされるため、そうした押しボタンの設置を進める必要もあるでしょう。自動的に音が鳴る音響信号機の場合は、午前8時から午後8時までの間と決められているところが多く、それ以外の時間帯では横断に不安が残ります。
しかし、昨今は騒音問題がセンシティブになっている背景もあり、周辺住民の理解やより多くの人にとってベストな仕組みの選択が重要となってくるのではないでしょうか。
高度化PICSのようにスマートフォン等を使ったさまざまな新しいサポートシステムの実用化も期待されるなか、今後どのような横断歩道がすべての人にとって安心・安全に利用できるのかどうか、再び検討する時期にきているのかもしれません。