プロボクサー・アイドルからなんでラリーに!? 異色のラリードライバー2名を直撃!  (2/2ページ)

梅本選手はなんとSKE48出身だった

 続いて元アイドルの梅本選手を直撃!

──梅本選手はSKE48に所属されていましたが、アイドルとしての活動は、どれくらいの期間やっていたんでしょうか?

梅本選手:2010年9月から2016年3月までなので、だいたい5年半ぐらいです。

──2016年にSKE48を卒業されましたが、もともとクルマやバイクが好きで、その後、モータースポーツを始めたんですよね?

梅本選手:2018年のTGRラリーチャレンジにコ・ドライバーとして競技を始めました。

──確か2018年のTGRラリーチャレンジで、クラスチャンピオンに輝いていますよね。2019年から全日本ラリー選手権に参戦するようになり、いまではコ・ドライバーとしてバリバリ活躍しています。で、先ほど、ホワイトボードにアイドルとラリーの共通点として「対応力」と書いてもらいましたが、その心は?

梅本選手:アイドルもラリーも臨機応変になにかをしなければならないので、対応力が必要になります。たとえばアイドルとして楽曲を披露する際、自由パートでは会場の雰囲気を見ながら、瞬時に対応していかないといけないですし、音楽が止まったときには、自分はリーダーだったので歌詞ではなく、メロディを歌うことで、メンバーに踊ってもらったりと、トラブルにも対応する必要があります。ラリーもドライバーと路面の状況に合わせて臨機応変に投げかけていくような感じで、リードしていく必要がある。そのあたりはすごく似ていると思います。

──なるほど。意外にもアイドル経験がラリーに生かされているわけですね。

梅本選手:その場に応じて瞬時になにかを感じて行動する……という部分は生きています。それに、瞬時に対応しなければいけないシチュエーションでも動じなくなりました。アイドルでは総選挙の際、いつ呼ばれるかわからない状態で、突然、スピーチしなければならないんですけど、その経験もあってラリーでトラブルがあったときでも動じなくなりました。マシンになにかあったとき、コ・ドライバーが動揺してしまうと、ドライバーが慌ててメンタル的にもよくないですからね。なにが起きてもドライバーには「大丈夫だよ」と声をかけている。そういったなにかあったときに冷静に動かないといけないところは共通点ですね。

──集中力という部分ではどうですか?

梅本選手:アイドルの場合、楽曲によって踊り方も変わってくるので集中の仕方は違いますが、それはラリーも同じかもしれません。ラリーも「このSSは頑張ろう」とか「このSSは少し力を抜いていこう」とか、集中の仕方は違うので、そのあたりも似ていると思います。

──フィジカル的にはどうですか? アイドルのほうがダンスもあるので、きつそうに見えますけど。

梅本選手:アイドルは重たい物をもったりしませんからね。それにチアリーディングをやっていたから踊ることに対しては慣れていましたし、アイドル時代はマラソンにもチャレンジしていました。楽曲も交代しながら歌うんですけど、ラリーのコ・ドライバーはずっとひとりでペースノートを読み上げていかないといけないし、ラリーではタイヤ交換もありますからね。クラッシュしたときには全力で走ってOKサインや三角板も出さないといけないので、ラリーも体力は使いますね。でも、もともと体力があったので、ラリー競技でもきつくなかったし、チアリーディングをやっていたときはマイクを使わずに地声で発声していたので、その経験もあってラリーのペースノートのリーディングでも聞こえやすいといっていただけました。

──リーディングでもアイドルの経験が生きているんですね。ところで、アイドル活動の魅力はなんでしょうか?

梅本選手:曲を通していろんな気持ちを伝えられるところが面白かったですね。大人数のグループだったので、みんなで作り上げている部分も楽しかったですし、お客さんとも共有できていたのでそこが魅力的でした。

──ラリーの魅力はなんですか?

梅本選手:アイドル時代に経験していないことばかりで、人間として鍛えられている部分がいいですね。それにクルマの動く楽しさや五感が刺激されるところも魅力だと思います。

──最近ではラリーのサービスパークにもたくさんのお客さんが観戦するようになってきましたが、ファンとの距離感とかはどうですか?

梅本選手:AKBグループは「会いに行けるアイドル」だったのでお客さんとの距離は近かったです。そういった意味では、サービスパークで応援にきてくれるお客さんも近いので似ているかもしれません。お客さんがギャラリーステージで撮ってくれた写真などを見せてくださるので、そういった部分は新鮮ですし、励みになりますね

 以上、元ボクサーの塙選手、元アイドルの梅本選手に話を聞いてみたが、残念ながら久万高原ラリーでは塙選手、梅本選手ともにリタイア。とはいえ、意外にもボクシング/アイドルとラリーの共通点はあるようで、それぞれの経験が生かされているのである。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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