アメリカからアメ車ブランドのセダンが消えた! アメ車に乗りたくてアメリカに行けどもアメ車のレンタカーが借りられない現状 (2/2ページ)

乗れば「アメ車らしさ」を味わえるのだが……

 マリブ自体は初代が1964年モデルとしてデビューしている由緒正しいモデル。4代目が1983年モデルで終売となり、5代目が15年ほど間を置いて4代目までのFRセダンからFFセダンへと生まれ変わった。最終モデルは2016年モデルとしてデビューした9代目となり、最終的にはカムリ並みに大柄なボディに対して1.5リッターターボエンジンのみとするなどダウンサイジングを進めていた。

 実際に運転すると、よくも悪くもアメリカ車というより伝統的なGM(ゼネラルモーターズ)のセダンという感じが強い。あくまで主観としていわせてもらえば、ひとまわり下のサイズ並みかそれ以上の小まわり性能はまさにGM譲り、昔ほどでもないのだが、径の大きめなステアリング、そしてなんともいえない滑らかなステアリングフィールからもGMらしさを感じさせてくれる。

 ふた昔ぐらい前ならば3リッターぐらいのV6を積んでいてもおかしくないのだが、ターボ付きということもあり、1.5リッターでもアメリカ車ならではのトルク志向のチューニングが施され、不満のないパフォーマンスを見せてくれていた。

 足まわりもアタリは軟らかいのだが、それでいて不安定でもないといった感じなので、長距離(450kmほど1日で走ってみた)走行でも快適であった。長距離といえば、シートも少々「ワイド系」な筆者の身体でも包み込み、適度なホールドや硬さで、長距離運転していても疲れが少ないというのも筆者が好んでマリブを選んできた理由のひとつであった。

「それでは日本でも……」となりがちだが、日本でもすでにセダンは「オワコン」状況となっているし、そもそもカムリクラスのボディサイズであり、ここのところはアメリカ国内専売車的位置付けだったので、海外展開は考えていなかったように見える。そもそもアメリカ国内でも終売となったのだから日本市場でその可能性があったとも考えることはできないだろう。

 クルマとしては、燃費性能が日本車に比べて見劣りしてしまうのがアメリカンブランドで、いまの南カリフォルニアではまずそこが致命傷となってしまう。また、残価設定含むローンやリースで買うのが一般的なので、再販価値が低めとなっていることも消費者が避ける傾向を助長しているように見える。

 アメリカという自国に特別の思いがあるひとや、「バイ・アメリカン」志向なひと以外は、アメリカンブランドお得意の大型ピックアップトラックでも、ハイブリッドユニットで攻めるトヨタ・タンドラに勢いでリードされてしまっているのが、南カリフォルニアでのアメリカンブランド車の位置付けとなっている。

 そして、よほどの地方部ではない限り、南カリフォルニアほどではないものの消費者動向は同じと考えてよいので、アメリカンブランドからセダンがほぼ消えてしまったといってもいいだろう。地方部ではまだまだアメリカンブランド車が目立つが、主役はピックアップトラックやそれをベースとしたSUVとなる。

 いまの流れをみると、今後、南カリフォルニアを訪れると日産もしくは韓国系ブランドのなかから借りるクルマを選ぶことになりそうだ。アメリカにせっかくきたのだからアメリカ車にという選択は筆者の利用しているレンタカー会社では、今後さらに困難を極めそうである。かつては「セダンが当たり前」だったアメリカで実用セダンがなくなったというのは、意外なほど大きなトピックであると筆者は強く感じている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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