犯罪捜査に大活躍! 道路上に設置されるカメラ「Nシステム」って一体なにを撮っている?

この記事をまとめると

■高速道路のゲート上などに設置される「オービス」は違反の取り締まりが中心

■「Nシステム」は通行車を撮影してナンバーを記録し捜査素材としている

■ドライブレコーダーや防犯カメラと連携し車両の迅速な特定が可能となっている

何を監視しているのかわからないNシステムの謎

 高速道路や幹線道路を走っていると、こちらを撮影しているようなカメラが設置されているのに出会うことがあるだろう。設置方法には複数の例が見られるが、道路を跨ぐように作られたゲートなどの上部に、カメラを据え付けたタイプのものがある。道路は公共の場所だから、民間施設などに見られる防犯カメラの類ではない。

 こういったカメラのなかには、道路管理者などが交通の状態などを監視・観察しているものもあるといわれているが、ほとんどは警察が管轄する速度違反自動取締装置(オービス)か、自動車ナンバー自動読取装置(Nシステム)なのである。オービスは設定された速度を超えて走っている車両を検知し、違反をした車両だけを撮影しているとされるものだ。

 対してNシステムは、その実態の詳細が明らかになっていない。公には、通行しているすべての車両のナンバープレートを撮影・記録する機能をもつとされている。撮影する理由は、罪を犯した人や行方がわからない人などがクルマに乗って移動していると考えられる場合、その捜査・探索の参考にするためなのだそうだ。

 Nシステムの映像が公開されたことはほとんどないので、撮影範囲についてはっきりしたことがわからない。しかし、カメラの設置位置から見ても、運転者や助手席同乗者の顔は撮影されていると考えてよいだろう。

 ただ、設置数は全国に2000台足らず(2015年段階で1690台とされる)だといわれており、たったそれだけで捜査・探索が可能か否かは疑問が残る。

 ところが、犯罪捜査や行方不明者の探索では、意外に早い段階で対象車両を補足していることが多い。その理由は、警察の地道な努力によるところが大きいのだ。操作・探索方法には、さまざまな手順がある。たとえば、1カ所だけでもNシステムに当該車両が写っていれば、同時間帯にその場所の対向車線を通過したクルマを割り出し、それらに設置されているドライブレコーダーの映像を入手する。これを参考にすれば、当該車両がどの経路をどちらに向かって走っているかが見えてくるのだ。

 同様に、その経路上にある店舗や民家の防犯カメラについても映像を解析することで、さらに当該車両の動きは特定されていく。まれに報道番組で防犯カメラ映像が流れることがあり、それはあまり鮮明に映っているとはいい難いことが多い。しかし、最近のカメラは2K・4Kで記録しているものがほとんどなので、実際はナンバープレートや人物の顔までがはっきりと映っているのである。

 必要なときにこういった映像を入手できるように、警察は日ごろから民家の防犯カメラまでチェックをしており、必要に応じてそのシステムの確認を行っている。以前は刑事ドラマにあるような目撃者捜しの聞き込みが中心であったようだが、現在では民設の防犯カメラやドライブレコーダーの映像まで分析して、聞き込みも効率化が図られているのだ。

 最近ではトクリュウなど一般人が犯罪に手を染める例も増えているが、決して逃げおおせるものではないということである。


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