この記事をまとめると
■米価高騰の背景には小規模経営と担い手不足など構造的な問題がある
■ヤンマー「YR-Cシリーズ」はシンプル操作でひとり作業を実現した田植機
■機械化と省力化の推進が米づくり再生と価格安定につながるだろう
米価高騰の陰にある構造的課題
2024~2025年にかけて、米の高騰が大きな話題を呼んだ。政府備蓄米などの放出で一定の安定は見たものの、米価高止まり傾向が解消されたとはいい難い。生産と消費のバランスや、流通上の問題点などが多角的に論議されているが、現在も解決に明確な道筋がついたとはいえない状況だ。もっとも、これまでが適正価格であったか否かという論議もあるので、当面は試行錯誤が続くのではないだろうか。
この問題の原点には、わが国の米作りシステムに関する課題があるとの指摘もある。なかでも、事業が小規模であることと担い手が不足しているという点は、早急に解決が必要な問題だといえよう。北海道のように大きな広い土地があればまだしも、本州以南は棚田に代表されるような、山間の狭小地に田作りをしているところが少なくない。加えて、少子高齢化や若者の都市部流出などで米作りに携わる人口が減少しているのだ。
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これらを解決する糸口のひとつが、米作りの機械化である。ただ、近年の農機は多機能化が進んだこともあって、車体重量が増加すると同時にオペレーションも複雑化する傾向にあるのだ。そこで、コンパクトな設計でシンプルな操作性をもつ農機の需要が高まり、それに応えて登場したが、ヤンマーアグリの田植機「YR-Cシリーズ」である。
本機の特徴は、わかりやすいスイッチ類などによるシンプルな操作性にある。田植機には手押しで操作する超小型のタイプもあるが、相応の仕事量をこなせる大きさのものなら、乗車をして操作するのが一般的だ。その場合、重量があるために田への出入り・あぜ道越え・トラックへの積み下ろしなどが難しく、誰かに手助けをしてもらわなければならない。
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こういった状況を改善するべく、機体を降りた状態でも微速前進・停止といった操作が行えるレバーを搭載して、ワンオペレーションでもこれらの動作を行えるようにしたわけだ。このレバーを備えたフロントハンドルを使用することで、田への出入りやあぜ道越えで発生しがちな、転倒につながりかねない機体前上がりの抑制が可能。万一の場合には、フロント上部のスイッチを押すことでエンジンを止めることができるから、ひとりでも安心して作業をすることができるのだ。
また、田植えを行うときには1列ずつ順番に作業をするのだが、終点に到達したときには次の列に移るためにターンが必要になる。このとき、いったん田植えの操作を停止してターンを行い、次の列に進んだ段階でふたたび作業を開始しなければならない。本機は、この一連の作業をすべて自動化したのである。
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その仕組みはこうだ。ひとつの列が終わって次の列に移る際にハンドルを切ることで、自動的に田植え作業を停止する。次の列に移ってハンドルを戻すと、再び田植え作業が始まるのだ。また、展開中にはブレーキ操作の必要がないために、制動力がかかることによって発生する耕作地表面の荒れが発生しない。
これらの機能により、補助者の力を借りることなくワンオペレーションでも手軽に田植えが可能になるわけだ。小まわりが利くので、狭小地の田でも使い勝手がよい。こういった農業機械のバリエーションが増えてくれれば、コメの増産や米価安定にもひと役買うのではないだろうか。