コレだよコレ! 「こんなんドローンじゃん」と言われないガチの「空飛ぶクルマ」が売られていた (2/2ページ)

普通のクルマとして使うのもOK

 空飛ぶクルマの正式名称はクライン・ビジョン・エアカーで、航空機らしい曲線で構成された2シーターのスポーツカーといったスタイリング。ですが、リヤに伸びている垂直翼形状のウイングにクルマの面影はありません。この車体、じつは揚力を発生する形状がとられており、総揚力の30~40%を稼いでいるのだとか。つまり、主翼だけでなくクルマっぽいボディそのものも翼の役割を担っているということ。

 また、ボディ後半にはエンジン、プロペラ、そして前後に畳まれた主翼が格納されており、飛行時には格納扉がガルウィング状に開いて翼を展開します。垂直翼形状のリヤブームは後方に伸びていき、その姿はまさにズングリムックリな飛行機そのもの。そして、BMWの1.6リッターエンジン(136馬力)によってキャビン後方のプロペラを駆動して、300mの滑走距離、120km/hの速度で離陸が可能とされています。

 空中での巡航速度は225km/hと発表され、航続距離は高度2500mで1000kmと推定されています。現状のエンジンでは高度4572mに到達可能であり、市販モデルで予定されているメルセデスベンツ製の300馬力エンジンへ換装すれば、より高度も速度も向上するとのこと。なお、地上での最高速度は170km/hとのことですから、クルマとしての実用性にも文句は出ないことでしょう。

 もっとも、コクピットをご覧になればおわかりのとおり、操縦方法は普通のクルマとはひと味もふた味も違います。ハンドルやアクセルなどは航空機のそれに近いものですから、操縦にはパイロットの免許が必要となることはいうまでもありません。とはいえ、万が一の場面では緊急用の機体パラシュートが装備されているため、九死に一生が得られることは開発者自らが実証済みです(笑)。

 クライン・ビジョン社によれば、2023年から選ばれた顧客には納品が始まっているとのこと。お値段はアビオニクス(航空機用電子機器)のグレードが左右しているようで、50万ドルから100万ドル(約7000万〜1億5000万円)と、スーパーカー並みのお手頃価格。北米では個人所有の小型飛行機が20万台以上あるとのことですから、このうち数パーセントでもエアカーに乗り換えたりしたら、クラインもウハウハ。ハイウェイでは飛んだり、着陸したりするエアカーが続出するかもしれません。

 なお、空陸両用車と呼ばれるエアカーですが、今後は3人乗りや水上離着陸ができる仕様も開発中なんだとか。空飛ぶクルマに文字どおり命を懸けたクラインの野望は、とどまるところを知らぬようです。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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