この記事をまとめると
■現行車の中古車価格が新車価格を上まわる「逆転現象」が拡大している
■新車743万円のランクル300 ZXの中古車には1300万円超の値を掲げるものもある
■フェアレディZやシビックタイプRなども生産体制の遅れによってプレミアム化した
新車で売っているスポーツモデルの中古車価格がヤバい
最近は、一部の中古車価格において、新車価格を上まわるパターンが見られるようになった。古いクラシックカーではなく、現行型の中古車価格が新車価格を上まわっている。
たとえばランドクルーザー300にV型6気3.5リッターガソリンツインターボエンジンを搭載するZXは、車両価格は743万6000円だが、中古車価格は1000万〜1300万円に達する。比率に換算すると、ランドクルーザー300の中古車は、新車価格の1.3〜1.7倍で販売されている。
トヨタ・ランドクルーザー300 ZXのフロントスタイリング画像はこちら
中古車価格が高騰する理由は、ランドクルーザー300が2022年の中盤以降、3年以上にわたって受注をほとんど停止させているからだ。商品として存在していると、当たり前のことだが、ほしいと考えるユーザーも増える。その要求が満たされない場合、予算に余裕のあるユーザーなら、中古車価格が新車価格の1.7倍でも買いたくなるのだ。
この背景には、高値で売却するユーザーや中古車業者もいるが、所有権のある車両の売買は基本的に自由だ。そしてランドクルーザーに限らず、需要に対して生産体制が整っていて、適正な納期で納車されれば、転売も中古車価格の高騰も発生しない。
トヨタ・ランドクルーザー300の前後スタイリング画像はこちら
そのために、以前は中古車が高値で売られていた車種が、生産体制が整って納期が適正になると、中古車のニーズも減って中古車価格が大幅に下がってしまう。
たとえば日産フェアレディZだ。現行型は発売後、しばらく受注が滞った。そのために売却と転売が増えて、一時期は中古車価格が新車価格の1.5倍、つまりバージョンSTであれば約1000万円に達した。ところがいまの中古車価格は、バージョンSTの中心が630万円前後だ。新車価格は675万9500円だから、中古車価格の中心は、新車価格よりも少し安い。
日産フェアレディZのフロントスタイリング画像はこちら
それでもNISMOは例外だ。ほかの標準グレードに比べて納期が遅れやすく、新車価格も935万2200円と高いから、中古車価格も高騰しやすい。その一方で、標準グレードの中古車価格は前述のとおり適性に戻りつつある。納期は4〜6か月程度に収まってきた。
シビックタイプRは、直近で販売を再開したが、そのグレードはレーシングブラックパッケージのみだ。価格は617万9800円で、受注していない標準グレードの499万7300円に比べて118万2500円高い。そして現行シビックタイプRの中心価格は580万〜650万円だ。受注が滞りやすいから、現在の新車価格の617万9800円を超える中古車も多いが、以前に比べると中古車価格は落ち着いてきた。
ホンダ・シビックタイプRレーシングブラックパッケージのフロントスタイリング画像はこちら
ちなみに中古車価格が高騰したときの上限価格は、おおむね新車価格の1.5倍と考えればいい。突発的に2倍前後に達することもあり、ランドクルーザー300の上限も約1.7倍だが、長期間にわたって安定的にプレミアム価格を維持する場合の中古車価格は、新車価格の1.5倍までと考えればいい。