トラックが悪いんじゃん……と言ったって事故ったら悲惨! 知っておくべき大型トラック運転士の「見えにくい場所」とは (2/2ページ)

大きなトラックには死角が多い

 まず気をつけてほしいのは、大型トラックの運転席からは自転車や原付バイクなどの小さな対象は、とにかく気づきにくいというところ。運転席の下部にエンジンを装備するという特性上、大型トラックの運転席はかなり高い場所に存在する。その高低差によって、目視での確認ができなくなるのだ。つまり、死角が生まれてしまうのである。

 たとえば赤信号で停車する際。自転車や原付バイクであれば、すり抜けて行ってでも先頭に出たいと考える人が多いだろう。信号待ちの先頭が車高が低い乗用車ではなく大型トラックであったとしても、その前方に出てしまうのだ。これが、じつに危険で厄介な行動なのである。

 もちろん、大型トラックには車体の前部状況を確認するためのアンダーミラーが装備されている。発進する際にそれさえ常に確認していれば事故を防ぐことができるのだが、100%確認しているかといえば現実的ではない。それに先頭で停車している以上、大型トラックのドライバーは信号が青になれば即座に走り出そうとする。このときに大型トラックの前方に割り込んだ自転車や原付バイクが発進に遅れてしまうと、予期せぬ大事故へと発展してしまうのだ。

 ゼロスタートであるため、大型トラックは遠慮なくアクセルを踏み込む。その結果、自転車や原付バイクをしばらく引っ張ってしまうということになってしまうのだ。

 後は、左折態勢に入っている大型トラックの左側に近づく行為もご法度。たとえ大型トラックの左側が空いていたとしても、そのスペースは内輪差によって消え失せてしまう。そんな場所に不用意に突っ込んでしまうと、もう手遅れ。最悪の場合、車体ではなく後輪に轢かれてしまうため、命の保証ができなくなるのだ。

 そんな巻き込み事故を防ぐために対策ミラーと呼ばれるものが大型トラックには装備されているのだが、当然のことながら対策ミラーばかりを気にして運転するわけにはいかない。進行方向や左右側の状況も確認しながら進むということになるため、自転車や原付バイクを運転する人にはとくに注意してほしい部分である。

 自転車から大型トレーラーまでもが共存する日本の交通社会。その一員である以上、常に自分の運転には細心の注意を払いたいものである。


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