この記事をまとめると
■渋滞吸収車両とは特別なクルマではなく渋滞を抑える走り方を実践するクルマを指す
■早めの減速と十分な車間距離で自然渋滞の伸びを抑える効果がある
■電動車のワンペダル操作は滑らかな減速を可能にし渋滞軽減に貢献する
運転で渋滞を軽減できる
渋滞吸収車両とは、特別な車種を指すのではなく、渋滞の影響を抑える走行方法をしているクルマをいう。
渋滞を抑制する走法は、誰もが実践できる運転の仕方で、社会実験によって効果が証明されているという。渋滞が伸びる理由は、渋滞を抜け出していくクルマに対して後続のクルマが多いことによる。渋滞に加わる後続車の台数を減らすことができれば、渋滞は解消へ向かう。
そんなことができるのだろうか?
具体的には、渋滞に差しかかった際、最後尾のクルマに追い付く前に早めに速度を落としはじめ、渋滞区間への到着を遅らせるようにする。速度を落とすのはじれったい気もちになるだろうが、ゆっくりでも走行し続けているほうが、渋滞にはまって停止するより気分は軽い。
後続のクルマが次々にそれを実践していくことで、渋滞の先頭から抜け出していくクルマの効果がやがて現れ、渋滞区間が長引くのを抑えることができるのである。
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とはいえ、速度を落とすことで前を走るクルマとの車間距離が広がり、そこに割り込んでくるクルマを増やす結果ともなりかねない。それはまた、癪に障り精神的にイライラさせられることにつながる。しかし逆に考えれば、そうして車線変更を頻繁に繰り返す運転者が間合いを計り損ね、接触事故を起こす懸念を軽減することになる。それは二次的事故による渋滞の悪化を予防することにつながる。
また、たとえ割り込み運転をされたとしても、早めの減速は渋滞を軽減する効果が確認されているとのことだ。
実際には、高速道路では車間距離40mを確保し、時速70kmでの走行を早めに始める。この数字は、渋滞の解消を促す交通の流れを事前に調査し、車間距離と速度を算出することで得られている。
早めの減速による渋滞吸収車両という手法を実践するには、普段から遠目に交通の流れを確認する習慣を身に着けることが大切だろう。
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自分の運転を振り返ってみて、前のクルマがブレーキを踏んだから減速するという運転を繰り返していないだろうか。それは、前を走るクルマの減速に対し遅れて操作が始まることを意味し、結果より強いブレーキをかけることになって、さらに後続のクルマはもっと強くブレーキをかけるはめになり、それが渋滞につながっていく。
つまり、自然渋滞の多くは自らの運転の仕方が起こしている可能性もあるということだ。
遠目に交通の流れを把握すれば、何台も先の遠いクルマがブレーキランプを点灯させたら、いずれ自分の近くのクルマが減速することを予測でき、あらかじめ車間距離にゆとりをもたせたり、アクセルを戻し加減にしたりすることを通じて、ブレーキを使わず速度調整できる。それが後続車に急ブレーキを促すことのない走りにつながる。
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渋滞吸収車両とは渋滞を軽くするための手段だが、その意識がそもそも自然渋滞を発生させないことにも繋がるということだ。
じつは、それには電動車のワンペダル操作が効果的だ。アクセルペダルをわずかに戻せば、回生の効果で適切に減速できる。しかも速度調整的な回生力はブレーキランプを点灯しないので、後続車に余計なブレーキ操作をさせずに済む。電動車は環境適合だけでなく、渋滞吸収車両としての能力も高いといえるだろう。