軽自動車のセールスは2社で熾烈な争いを極める
そのなかで、軽自動車が前年比プラスに転じているのは、登録車に比べれば供給体制に余裕があることがいえるだろう。販売台数の多い人気モデルほど、よほど仕様にこだわらなければ、すでに生産途上のモデルや、場合によっては在庫車が購入車種として引き当たる体制をとっており、ナンバープレート取得に必要な期間が短い(車庫証明が必要でも事後申請となるので)のも、増販期ではギリギリまで販売促進活動ができる。よって、軽自動車が有利となってくるのである。
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そして、増販期だからといって破格な値引きなどでお得に買えることも、最近はなくなってきている。トヨタではすでに納期が読めないので、受注時には受注車両が増販期の実績カウントなるか否かの判断がしにくく、当然購入条件でもそこはほとんど考慮されなくなってきている。
全体でも値引き原資となるディーラー利益などが、物価や人件費上昇などで圧縮傾向にあるので、値引き拡大余力も急減している。最近では中古車価格が上昇しており、下取り査定額が期待できるのだが、契約車両の納期が見通しにくいケースでは、控えめな査定額しか出せないこともあるようだ。そのため、いまではいつ買っても値引きも査定額も大きな変化がない……というのが、売る側だけではなく買う側でも認識するひとが目立ってきているようなのである。
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また、軽自動車で気になるのはブランド別の動きだ。昨年の2024年9月では、軽四輪車全体ではスズキがトップを維持し、2位ダイハツに約1.1万台差をつけていたのだが、今年2025年9月になるとその差は7000台ほどと縮まっている。2025年1月からの累計販売では約8000台差がついているので、残り3カ月でスズキにダイハツがどこまで迫れるのかが見ものだ。
軽四輪乗用車でのスズキとの差を、軽四輪貨物車の販売台数で縮めるというのがダイハツの動きとなっているので、ダイハツ軽四輪乗用車のさらなる復調が、トップ返り咲きには必要となるであろう。
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スバルはダイハツから軽自動車のOEM(相手先ブランド)車供給を受けて販売しているのだが、全体で前年同期比122.2%、軽四輪乗用車では前年同期比約165.2%と伸長率の高さが目立っている。ムーヴのOEM車となるステラが新型となり、さらに期末で一気に在庫車が掃き出されたのではないかと見ている。最近とあるスバル系ディーラーではステラが展示されていたこともあったので、販売現場では意外なほどステラの販売促進に気合いが入っていたのかもかもしれない。
年間での販売台数平準化が進む前は、9月に売りすぎた反動で10月の落ち込みが目立つこともあったが、この様子だと、2025年10月は目立った落ち込みもそれほどないものと考えている。