歩行者をキチンと保護するのは日本ならでは? 日本の押しボタン式信号をみて外国人が驚くワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本では歩行者を交通弱者と捉えており押しボタン信号が安全横断を支える仕組みである

■米国ではボタンは横断の意思表示に過ぎず信号は自動で変わらない設計が多い

■南カリフォルニアでは信号無視も多く歩行者が自己防衛を迫られる現状がある

日本独特の「歩行者事情」

 夕方のテレビニュースの特集コーナーなどで、「ヒマネタ」のようによく取り上げるのが、「インバウンド(訪日外国人観光客)が日本を訪れて驚いたもの特集」といったもの。自分たちの国ではまず見かけないものや事象にインバウンドが感心しながら驚いたといったようなものである。テレビニュースの特集ではないものの、あるメディアで日本の押しボタン式信号をインバウンドが驚いたものとして紹介されていた。

 日本では、歩行者について「交通弱者」という表現が使われることがある。四輪車や二輪車などに対して歩行者や軽車両(自転車)を「弱者」としており、四輪車や二輪車はこのような交通弱者に配慮した運転を心がけようということになっている。ここ最近では、信号のない横断歩道を横断しようとした歩行者がいてもそのまま通過する「横断歩行者妨害」の取り締まりが全国で強化されているのも、そんな流れともいえよう。

 海外でも歩行者を交通弱者ととらえているが、それは道路を横断しようとしてもなかなか四輪車などが停まってくれない(信号機のある交差点などでも信号無視がザラで危険すぎる国もある)、日本のように車道と完全に分離されている歩道整備が目に見えて進んでいないといった四輪車最優先の道路環境がゆえ、歩行者が文字どおり交通弱者と呼ばれているものと筆者は感じている。

 ここ数年は今回訪れた南カリフォルニアでも、信号が黄色から赤に変わる微妙なタイミングをはるかにこえ、進行方向の信号が完全に赤なのに、しかも横断歩行者がいるのにもかかわらず突っ込んでくるクルマが目立っているので、筆者は少し様子を見てから横断歩道を渡るように自己防衛している。

 押しボタン式信号は日本でいうところの交通弱者である歩行者へ配慮したものとして、インバウンドが驚くようである。

 ところが、南カリフォルニアを歩いているとあちこちの交差点に押しボタンが存在する。筆者が見た限りでは、押しボタンを押して道路を横断する意思表示をしないと、歩行者信号が日本でいうところの青にはならないのである。

 南カリフォルニアで信号のある交差点にはたいてい歩行者用押しボタンが存在する。歩行者は渡りたい横断歩道上を通過する道路の車両用信号が青、つまりクルマが通過して横断できない段階で交差点に到着したらまずボタンを押し、車両用信号が赤になりクルマが停止して歩行者用信号が青になってから渡ることになる。

「ん? 日本と変わりないような……」とも思えるが、日本のようにボタンを押すと車両用信号が赤になり、歩行者用信号が自動的に青になって横断することができるというものではない。あくまで横断歩道を渡る意思表示をするためにボタンを押し、歩行者用信号を横断可能(つまり日本での青)の表示にするのが原則となっている。

 横断できる状態でボタンを押すと、素早く青となって横断意思を伝えて横断することができる信号もあるのだが、たいていはボタンを押しても信号表示は横断禁止となったままで、原則では次に横断可能な状態になった時に初めて信号表示上も横断可能となるので、多くのひとは信号に関係なく、横断できる時には勝手に道路を横断しているのも現状となっている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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