約半数が80歳を超えても運転したい! アンケートでわかった高齢ドライバー問題の難しさ (2/2ページ)

交通インフラの整備が急務

 子ども世代はさらに顕著で、「何歳まで運転したいか」という問いに対し、「70歳以上」と回答した人が88.2%に及んでいる。80歳を超えても運転したいと思っているのは48.7%で、90歳以上でも運転を継続したいと考える人も一定数存在する。それだけ、移動にクルマがないと不便な交通環境に置かれているのだろう。

 こういった背景もあって、子ども世代の34.2%が高齢者に免許返納をすすめていない。しかし、18.1%は免許返納をすすめてスムースに話を受け入れてもらっており、36.8%は今後話をしようと考えている。

 話をするにあたって、「地域でどのような取り組みがあるとすすめやすいか」という問いには、公共交通機関やタクシーの割引や民間企業の送迎サービスなどといった、代替となる交通手段の費用引き下げや、インフラとしての整備が求められているようだ。これはすなわち、免許返納にあたって移動の自由を制限されることが、懸念されているということだろう。

 警察庁の資料によると、じつのところ、もっとも事故を起こしているのは10歳代~20歳代のドライバーだという。たしかに、自動車保険の保険料率もその世代が高くなっている。ただ、死亡事故に限ってみると免許保有者10万人当たりの事故件数は、高齢者によるものが若者を上まわる。死亡事故は大きく報道されるので世間に与えるインパクトも大きく、結果的に高齢者の事故が問題視されるようになったことも否定できない。

 これらのことからも明らかなように、交通事故は必ずしも高齢者ばかりが起こしているわけではない。また、地域の交通事情を考えれば、単純に免許返納を制度化すればよいというものでもないのである。ただ、年を重ねれば個人差はあるものの身体機能が低下することも否めない。

 現在でも高齢者の免許更新には一定の条件が課されているが、こういった取り組みをさらに充実させる必要はあるだろう。同時に、グリーンスローモビリティやコミュニティバスなど、地域の実情に合わせた交通インフラを整備して、高齢者が免許を返納しても安心して暮らせるように、行政のさらなる努力を期待したいものだ。


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