思ったほど快適じゃない……は間違った使い方が原因! 意外と知らないクルマの「オットマン」の正解とは

この記事をまとめると

■オットマンは足を乗せるための補助機能でありリクライニングベッドではない

■水平に上げすぎるとふくらはぎが圧迫されて疲労や不安定感の原因になる

■走行中は床に足が着く角度で使うことが快適性と安全性の両立につながる

オットマンを使いこなして快適に移動しよう

 高級車はもちろん、いまでは軽自動車にも採用されているオットマン。オットマンとはソファやクルマのシートの座面を延長するかのような足乗せである。クルマの場合はシートに格納されたオットマンを電動、または手動で出すことで、よりリラックスした姿勢でドライブを楽しむためのものだ。

 オットマン付きの国産車としては、トヨタ・エスティマ、アルファード、ヴェルファイア、ノア&ヴォクシー、グランエース、日産エルグランド、フーガ、マツダMPV、ホンダ・オデッセイ、ステップワゴン、そしてスズキ・スペーシアなどがあり、贅沢感、より一層の移動の快適さを提供してくれることは間違いない。フーガのように、助手席パワーオットマンが用意される車種もある。

 が、間違った使い方をしている人が少なくない。オットマンを出したらグングン上げて、シート座面とほぼ水平にして足を乗せているのではないだろうか。つまり、リクライニングベッドに寝ているように、足が完全にシート座面~オットマンに乗っていて、フロアからは離れている座り方だ。

 そのオットマンの使い方だと、最初は快適でリラックスできるかもしれないが、時間が経つにつれてふくらはぎが圧迫され続けてかえって疲れてしまったりする。カーブなどではオットマンに乗った足のふんばりがまったく利かず、左右に振られることもあるだろう。これも疲れる原因になりうる。そうなると、「オットマンを出してもそれほど快適じゃない、落ち着かない」ということになり、いつの間にか使わなくなったりするものだ。それでは宝の持ち腐れではないか。

 では、どんな使い方が正しいのか。まずはオットマンを出し、足先が出る体型、身長の人ならば、オットマンに足を乗せて一番上まで上げ、意外かも知れないが、そこからオットマンを足がちょうどフロアに着く位置まで少しずつ下ろし、フロアに足の裏が着いたらそこでぴたりと止めるのだ。つまり、オットマンが前下がりになった状態だ。そうすれば、床についた足を含め、体を支える部分が増え、ふくらはぎが圧迫されにくくなる。家具のソファとは違う、振動や上下左右に振られる動きのある車内でのオットマンの本来の使い方による贅沢感ある座り心地、快適性が得られることになるのだ。

 ただし、ドライブ先の安全な場所に駐車し、仮眠するような場合は、オットマンをもっとも高い位置、水平近くにセットして、背もたれを最大限に倒してベッドのように使う方法はアリだ。5代目オデッセイのプレミアムクレードルシートのように、背もたれを倒しても上体が前を向くような構造のオットマン付きシートもある。

 いずれにしても、走行中はシートベルトの安全性を確保した姿勢で乗車すること。背もたれを大きく倒し、オットマンを水平近くまで出してくつろぐような着座姿勢は危険だから、絶対にやめてほしい。


この記事の画像ギャラリー

青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報