日本人トリオでル・マン24hレース2位表彰台を獲得! トヨタの技術力を見せつけたTS020とは (2/2ページ)

高い戦闘力を誇ったが優勝には至らなかった

 TS020は、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)のプロジェクトとして誕生した車両だった。もともとTTEはトヨタWRC活動の拠点だったが、不祥事によって1996年と1997年のWRC参戦を手控える事態となっていた。この休止期間を利用してル・マンへの参戦企画が検討された。このTTE、じつはこの時すでに新規にF1のプロジェクトも決まっていたのだが、着手するまでにまだ時間があり、いわゆるエアポケットの期間を利用してル・マン・プロジェクトを立ち上げていた。

 シャシーの設計は、初期型プジョー905の設計でも知られるアンドレ・デ・コルタンツが担当。カーボン/アルミハニカムモノコック構造を採用。エンジンはグループCカー用の3.6リッターV8ターボのR36Vをトヨタ東富士がTS020用に再開発。東富士が本腰を入れて開発作業を行ったことで、R36Vは当時のレギュレーションに沿った要求性能を満たすエンジンとしてリニューアルされ、見事なパフォーマンスを発揮した。

 わずか2シーズン、しかもル・マンだけの参戦だったが、密度の高い車両開発を行い、参戦体制も充実させたことで、1999年のル・マンでは2位に食い込んだ。このレースは、終盤バーストでタイヤ交換を強いられるまでBMWの背後を脅かし、十分以上に戦闘力の高さを発揮していた。

 TS020は、トヨタのル・マン・カーとしては85C/86C系、88C-V〜90C-V系、TS010に次ぐ第4世代にあたるマシンで、トヨタ車としての2位入賞は1994年のSARD94C-V-に続く2度目。1994年もあとひと息で優勝できる状態だっただけに、TS020に対するファンの期待、そして優勝を逃した落胆は大きかった。


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