未来のレクサスのフラッグシップはクルマではなくヨット!? いまはまだ小さな模型にすぎない「カタマラン」にはラグジュアリーの極みが詰まってた【ジャパンモビリティショー2025】 (2/2ページ)

お金持ちこそ環境を意識する時代

 さて、この「カタマラン」の特徴をザッと紹介すると、まずその高くそびえ立った2本の薄い柱が目に留まりますが、これはセール(帆)だそう。実際の船体が数十メートルなので、銭湯の煙突以上の高さをイメージするとわかりやすいかと。普通、帆といえば三角の大きな布を想像しますが、これは風の圧を受けて推進する方式ではなく、ジャンボ機の翼と同じ原理の“揚力”を発生させてそれを推進力にするものです。

 まだ構想段階だそうですが、この原理を使った競技船では100km/hもの速度が記録されているそうなので、巨大な船体が想像以上の速度で航行できるポテンシャルを持っていることになります。

 そんな速度も驚くべきポイントですが、最大の利点はカーボンニュートラルということです。これからの時代はセレブこそ環境意識の高さが求められるので、燃料を消費してのくつろぎでは罪の意識がぬぐえません。自然のエネルギーを活用するセールなら、自由なバカンスを満喫できるというわけです。ちなみにこのセールにはソーラーパネルの内装が想定されているそうで、船内で必要な電力や、風が無いときの自律航行のエネルギーもまかなえる仕組みになっているとのこと。

 船体は巨大なサイズで設計され、実際の寸法はまだ検討段階のようですが、「少なくとも25mプールよりは大きいです」と林さん。その巨大な双胴船構造による広いデッキ部分には、くつろぎのための空間を演出するテーブルやバーカウンターなどが設置され、ホテルのスイートルームを超えたつくりが垣間見えました。
また、「Bespoke」というカスタムオーダーシステムの導入も検討しているそうで、内装や設備の構成などを自分好みにつくりあげることができるようにしていくそうです。

 また、このヨットはプライベートな時間を楽しむためのものとして考えられているので、自動運転を実装して、操船のためのクルーとのやりとりに煩わされないように配慮しているとのこと。実際に船の自動運転はすでに商品に実装され始めているそうなので、夢物語ではありません。

 ちなみにこの「レクサス・カタマラン」はトヨタグループの船舶製造事業「トヨタマリン」のプロデュースで進められるプロジェクトだそうです。少し歴史に触れると、トヨタマリンはレクサスの立ち上げと同じ1990年にトヨタ社内の企画室としてはじまり、1997年に事業として独立。本格的な28フィート級のボートをリリースしてから28年にわたって製造販売して来た実績があり、船舶製造メーカーとしてすでに確かなポジションを確立しています。

 このように、気付かずに通り過ぎてしまいそうなミニチュアの模型の展示のなかには、壮大でラグジュアリーの極みの実現を目指すプロジェクトが詰まっていました。


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往 機人 OU AYATO

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