この記事をまとめると
■免許を取得する際は現在「AT限定免許」が基本となりMT取得には別途講習が必要だ
■レーシングドライバーがMT車を操作する動画を見ても公道では使えない技術も多い
■シフトやクラッチを間違った操作のまま続けて使っているとパーツの劣化が早くなる
教習所では教わらないMT車の運転でやってはいけないこと
2025年度よりAT(オートマチックトランスミッション)限定が運転免許の基本となり、MT(マニュアルトランスミッション)を運転するには、AT限定免許を取得してから限定解除をするフローに変更されている。
これにより、MTを運転できる免許の取得に時間とコストがかかるようになったが、AT限定免許の教習が主となり、最短であれば4時間の教習で限定解除できるようになったので、MTに乗れる普通免許の取得自体は容易になったという見方もあるようだ。
MTが設定される新車は少数派であり、ストロングハイブリッドや電気自動車にはその構造上、MTの設定が考えづらいことからすると、AT限定免許を基本とする改正は納得できるといえそうだ。
AT限定免許画像はこちら
それはさておき、2ペダルで運転するATが主流である現在、アクセル・ブレーキにクラッチを加えた3ペダルを操るMTの正しい運転について学ぶ機会も、このような教習がスタンダードになっている以上、減っていくはずだ。もちろん、自動車学校(自動車教習所)でMTの運転について基礎的な部分は学ぶが、前述したように4時間だけではその内容は限られる。
結果として、動画サイトなどでプロドライバーなどのインカー映像からMTの運転を学ぶことになるが、モータースポーツのドライビングをそのまま真似ると、公道走行においては正しくない運転スタイルを学んでしまうこともある。
サーキット走行のイメージ画像はこちら
たとえば、インカー映像ではシフトノブに左手(右ハンドルの場合)をのせている状態を見ることが多いという印象があるのではないだろうか。助手席側にカメラを置いて撮るときに、左手がシフトノブを握っていると、いわゆる”映え”て見えるし、MTを運転しているのであればシフト操作をしている瞬間を切り取りたくなるものだ。
ただし、MT車を運転しているとき、常に左手がシフトノブを握っていると理解してしまうのは間違いのもとだ。
MT車で走っているとき、シフトレバーは微妙に振動していることが多い。シフトノブを手で押さえてしまうと、その振動が腕に伝わってくるし、さらにシフトレバーが揺れることで逃がしていた力が、トランスミッションの部分を傷めてしまうこともある。
MTの操作イメージ画像はこちら
シフト操作の準備として、事前にシフトノブに手を置くことはスムースなドライビングにつながるが、高速巡航などシフト操作が不要なときまでシフトノブに触れているメリットはない。MT車であっても、ステアリングを両手で保持するというスタイルが基本であると理解したい。