公道はもちろんサーキットでも走行は認めないって実質オブジェ!? それでも1億8千万円で落札されたフェラーリの開発車両とは (2/2ページ)

インパクトのあるデザインはあくまで試作用

 ボディデザインも、もちろんのちに誕生するラ フェラーリのそれとは一切の関連性がない、独特なアピアランスをもつものだった。マットブラックにペイントされたボディのフロントビューからは、新たにデザインされたエアインテークやフェンダー、そして巨大なエアアウトレットをもつボンネットなどが特徴的で、リヤのボンネットリッドには、エンジンルームへのエアフローをさらに高めるために追加のエアベントも採用されている。

 ヘッドライトやテールライト、サイドミラー、フロントフェンダー上のエンブレム、あるいは前後のホイールなどには458イタリアのイメージがわずかに残るものの、F150 M4にとってそれは特別な意味をもつものではない。

 インテリアでは458イタリアのデザインがほぼそのまま受け継がれている。ブラックのレザーシートとタンのカーペットは、F150 M4が製作されたときのままの仕様で、ダッシュボード上に走行実験中に必要とされるスイッチ類を追加装備したことや、ステアリングホイール上に高電圧を警告するステッカーが貼られていることなどは、このミュールカーが製作された背景を物語る部分といえる。

 このF150 M4が、どのような経緯を経てコレクターの手へと渡ったのかという詳細は不明だが、デリバリー時にはオンロードはもちろんのこと、サーキットなどのクローズドコースにおいても一切の走行を認めないということに誓約することをフェラーリは要求したという。

 参考までにRMサザビーズは、今回モントレーオークションにおいてその予想落札価格を90万~120万ドル(約1億3246万~1億7662万円)と提示したが、やはりこのチャンスを逃せば再びそれを手に入れることは不可能に近いともいえるフェラーリのミュールカー、F150 M4に対する注目度は高い。

 最終的にその落札価格は121万5000ドル(約1億7882万円)を記録するに至った。フェラーリの熱狂的なコレクターにとって、それが特別な買い物であったことは間違いないだろう。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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