それぞれまったく違ったバックボーンをもつ
続いてTRD。TRDは「トヨタレーシングディベロップメント」の略で、トヨタ自動車のグループ会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」のブランド名だ。もともとはトヨタの特装車事業を担当していた、トヨペットサービスセンターの特殊開発部(1965年設立)がルーツ。
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映画007のボンドカーに採用されたトヨタ2000GTなどもここで製作されている。その後、競技用の車両やエンジンの開発、カスタマイズパーツの開発・販売などを請け負っていまに至る(現在はTRDのモータースポーツ事業は「トヨタガズーレーシングデベロップメント[略称TGR-D]に移管)。TRDがほかのワークスと違ったのは、競技車両やレース用のエンジンの開発は行っても、レーシングチームとしての運営は、各トヨタ系チームに任せていたこと。1981年に日本初のワンメイクレースをスターレット(KP61)で企画・開催したのもTRDだった。
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最後は無限(現M-TEC)。無限は、1973年に本田技研工業の創業者、本田宗一郎の長男、本田博俊が設立した会社で、ホンダとは資本関係のない独立系の会社となっている。本田宗一郎は、「会社は個人のもち物ではない。だからこそ私は身内を入社させない」という方針だったので、本田博俊はホンダ技研に入社せず、レーシング会社を設立。
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無限ではまず手はじめにシビックの1.3リッターのエンジンをベースに、FJ1300用のエンジン「MF318」を開発(1973年)し、デビューウィンを達成。このエンジンの設計には、のちのホンダF1エンジンの責任者、そして本田技研の社長になる川本信彦もかかわっている。
その後、四輪用レースエンジン、二輪用レースエンジン、カート用エンジンなどさまざまなエンジンを開発製造。グループAやJTCC、スーパーGTなどにはチームとしても参戦。F1にもエンジンを供給し、4回の優勝を遂げている。
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2003年、株式会社M-TECが設立され、翌年から無限のほぼすべての業務がM-TECに譲渡され、「無限」ブランドの独占使用契約が締結された。