レクサスLFAはお金だけでみれば大赤字! クルマは何台売れば儲かるのか? (2/2ページ)

レクサスLFAでのトヨタのもち出しは200億円を超える?

 ちなみに2010年の末に発売されたスーパースポーツカーのレクサスLFAは、価格が3750万円で、500台の限定販売であった。そうなるとレクサスLFAの売り上げ総額は「3750万円×500台=187億5000万円」だ。

 別のメーカーのスポーツカーの開発者に意見を求めたところ「LFAの1台当たりの製造コストは、少なく見積っても1000万円に達するはずだ」といわれた。そうなると製造コストの総額は、少なくとも「1000万円×500台」で、メーカーとしては50億円の負担になる。

 そして、LFAは開発コストも高い。開発コストの算出方法はさまざまだが、2010年当時は、大雑把にいうとプラットフォームなどを共通化した派生車種の開発費用が約100億円。プラットフォームなども新開発すると200億〜300億円で、ミニバンなどは高く300億円前後といわれた。LFAのようなエンジンを含めて専用開発の車種は400億円前後だ。

 そうなるとレクサスLFAを500台製造する出費は、製造コストが50億円、開発コストは400億円だから、合計450億円になる。

 ところが売り上げ総額は前述の187億5000万円だから「400億円−187億5000円」で、212億5000万円の損失になると受け取られる。実際には営業関連の出費なども生じるから、メーカーのもち出しはさらに増える。レクサスLFAはこれでいいのか? 赤字商品にならないのか?

 この点をレクサスLFAの開発者に直接尋ねると「いいたいことはよくわかる。F1みたいなものだと考えてほしい」と返答された。

 昨今のF1は予算制限を設けているが、それでも1年間に約210億円に達する。仮にレクサスLFAのもち出しが212億5000万円とすれば「F1みたいなもの」という開発者の言葉も納得できる。

 レクサスLFAのような高価格車には、ブランドとしてのチャレンジ、イメージリーダーの役割もあり、一概に損得勘定だけでは割り切れない。それを可能にするためにも、大量に販売するクルマで、しっかりと利益を高める必要が生じるのだ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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