労働者を守るための労働時間の規制が逆に「働くクルマのドライバー」を苦しめることになる! 高市政権に求められる規制への柔軟な対応 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■高市首相が労働時間規制の緩和を検討中との報道から働き方改革への議論が再燃している

■輸送業界では規制強化により収入減や人手不足が深刻化し、業務維持が困難な現実がある

■単純な時間規制ではなく、稼げる仕組みと柔軟な働き方の両立が不可欠とされる

新政権発足で労働時間規制が緩和か

 高市早苗新首相が、政権が発足するとすぐに労働時間規制の緩和検討について指示を出したという報道が注目されている。自由民主党(自民党)新総裁に決まった当初、自身について「ワークライフバランスを捨てる」と発言したことも物議を醸しているようだ。

 これまでの猶予期間が終わり、2024年4月より旅客、貨物問わずプロドライバーの世界でも時間外労働が規制され厳しく管理されるようになった。「2024年問題」とされ、時間外労働規制強化前から2024年4月以降は運送業界に大きな混乱が生じるのではないかといわれていた。

 筆者自宅最寄りのターミナル駅と成田空港を結ぶ高速路線バスは、2024年4月に入ってから2024年問題を理由に無期限の運休に入ったままとなっている。貨物輸送業界では、ワークライフバランスを重視するあまり、いままでの半分程度の距離しか荷物を運べなくなるケースも生まれ、時間的余裕はできた一方で収入減少に耐えきれなくなった。

 さらに、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加やスマホアプリ配車の普及などで、大きく稼ぐことが可能となったタクシー業界へとトラック運転士が転職するという動きも顕著となってしまった。

 路線バスではただでさえ運転士不足が深刻となるなか、ワークライフバランスを重視した運行業務シフトを作成しようとしても運転士の数が十分ではないので、減便や路線廃止に拍車をかけてしまっている。そもそもが薄給傾向の路線バス運転士なのに、労働時間の規制強化により超過勤務手当といった各種手当が減り、トラック運転士同様にタクシーまたは異業種へ転職する動きも目立っている。

 大前提として、日本では事務職ですら基本給がそれほど高くなく、残業手当などで補填する形で「失われた30年」を多くのサラリーマンがしのいできたという背景もある。現状では賃上げが進んでいるといわれるが、それは一部大手企業の新入社員などかなり限定的なもので、現役子育て世代ではかえって給与が減っているといった話もある。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報